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委託者が認知症になったら信託契約を発動させたいのですが?

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現段階で信託契約を締結するけれども、まだ委託者たる老親は元気なので、将来の判断能力低下(喪失)時まで待って、その時に発動させたいというニーズを多く聞きます。

そのようにお考えになるお客様のお気持ちも十分に理解できますし、理論上もそのように設計することはできます。

しかし、このような条件付信託契約は、いくつかの問題をはらみますので、実務上はお勧めしておりません。

 

例えば、そもそも条件成就(判断応力の低下又は喪失)による信託契約の発動を想定した場合、誰がどのようにその条件成就を見極めるのでしょうか?

信託契約発動の客観的なタイミングは、どのように考えれば良いのでしょうか?

 

「医師の診断が下りた時」ということであれば、主治医に診断書の発行をお願いすることは恣意的にタイミングを操作出来ることになりますので、法的な効力発生日に客観性はなくなります(診断書の中で○月○日に判断応力が喪失したとは記載されることはありませんので)。

 

似たような考え方に任意後見契約がありますが(ここで任意後見制度についてのご説明は割愛します)、実は任意後見契約の発動と本稿の条件付信託契約では、前提条件が異なると言えます。

任意後見は、あくまで判断応力の低下した人に代わって契約行為や財産管理等をする代理権を任意後見人に付与するものであり、任意後見発動後も被後見人本人は、財産の処分などの契約行為をすることも可能になります。

一方の信託は、信託発動後は、財産の管理処分権限は原則として受託者に移りますので、本人(委託者兼受益者)は、直接財産の処分行為等はできなくなります。つまり、信託契約の発動時期は、法的観点(処分権限のある者は誰か等)からみれば非常に重要な問題となるので、客観性のないものを条件にする契約は、非常に危ういと言えます。

 

 

以上のように、「判断応力の低下又は喪失を条件とする信託契約」は、理論上できない訳ではありませんが、やるべきではないと考えます。

むしろ、信頼できる相手だからこそ受託者として託した訳ですから、委託者(老親)が元気なうちから財産管理を任せてみて、その働きを委託者自身がしっかりと見極めるという考え方がよろしいかと思います。

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