成年後見(法定後見・任意後見)、高齢者等の財産管理

成年後見開始の効果 ―後見人の権限― 【法定後見】

8月 5, 2008

「保佐」や「補助」と異なり、成年後見人が事前に同意を与えていても、取り消すことができます。
ただし、食料品や日用衣料品の購入など、日常生活に関する行為については取り消すことができません。
例えば不動産の売却なら、それを取消すと、代金を返却して不動産を取戻すことができます。
なお、取消すことができるのは、成年後見人だけです。
他方、成年後見人は、本人の財産を管理し、また、本人に代わって契約を締結したり、損害賠償を請求したり、遺産分割協議を行う権限(代理権)を持ちます。
財産管理とは、通常は、財産を維持、保全することを言いますが、成年後見にあっては、生活費を捻出するなど必要がある場合には、売却その他の処分をすることも含まれます。
これら財産管理や代理権の行使は、あくまで本人のためになされるものです。
一部に、後見人になれば何でも勝手に処分できるという誤解があるようですが、財産管理や代理権の行使の適正については、家庭裁判所等の監督がなされ、万一、後見人が本人の財産を使い込むなどしたら、民事、刑事の責任が生じます。
【取消権】
本人が自ら行った行為は、取り消すことができます。
ただし、日用品の購入やその他の日常生活に関する行為については除かれますし、婚姻、認知、嫡出認否、遺言など、本来、本人にしかできないことは、取消権の対象とはなりません。
【追認権】
取消すことのできる行為を取消さずに後から承認(追認)できます。
追認したときは、当初から有効であったものとみなされます。
本人の利益を損なうことはないと判断される場合には、追認することも可能ですが、一度追認してしまうともう取り消すことはできませんので、注意が必要です。
【代理権】
成年後見人は本人の財産を管理し、その財産に関する法律行為について本人を代理します。財産を管理する権限(包括的な財産管理権)を有することになります。
預金の管理・払戻し、不動産の売買、賃貸借の締結・解除、遺産分割のほか、生活又は療養看護(身上監護)を目的とする介護契約、施設入所契約、医療契約の締結等を行います。
なお、婚姻、認知、嫡出認否等の身分行為や、医療同意等の一身専属的な行為は、代理権の対象とならず、遺言についても除外されます

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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