離婚協議・財産分与・養育費

居住用不動産の離婚に伴う財産分与

6月 17, 2015

夫婦が離婚したとき、相手方の請求に基づいて一方の人が相手方に財産を渡すことを財産分与といいます。
財産分与が土地や建物などで行われたときは、分与した人に譲渡所得の課税が行われることになります。
この場合、分与した時の土地や建物などの時価が譲渡所得の収入金額となります。

次に、分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになります。
したがって、将来に、分与を受けた土地や建物を売る場合には、財産分与を受けた日から売る日までの所有期間で、長期になるか短期になるかを判定することになります。

 

(1)居住用不動産の財産分与:財産分与として渡す場合
居住用不動産については譲渡所得について「3000万円の特別控除」と「居住用不動産の軽減税率適用」がありますので、財産分与として居住用の不動産を譲渡した場合もこの特例の適用があります。
この特例を受けるためには、親族以外への譲渡が要件となっていますので、離婚して親族ではなくなった後に財産分与として不動産を渡す必要があります。
※居住用不動産の譲渡の3000万円の特別控除(売却利益が3000万円以内の部分は無税です)。
※所有期間が10年を超えていれば居住用不動産の軽減税率適用の特例を受けることができます。

(2)居住用不動産の財産分与:財産分与のために売却する場合
居住用不動産については譲渡所得について「3000万円の特別控除」と「居住用不動産の軽減税率適用」があります。

(3)居住用不動産の財産分与:婚姻期間が20年以上の夫婦の場合
※婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、居住用不動産を贈与しても引き続き居住するときは、基礎控除60万円のほかに2000万円の配偶者控除がありますので2060万円まで非課税です。
婚姻期間が20年以上の場合、離婚前に2000万円に相当する不動産を贈与し、離婚後に残りの持分を財産分与すれば、税金を払わずにすむ場合もあります。

(4)居住用不動産の財産分与:ローン付居住用不動産
住宅の時価から分与時のローン残債を差し引いた残りの額が財産分与の対象になります。
例えば、住宅の時価が5000万円で、夫名義の住宅ローンが3000万円残っていたとすると、5000万円から3000万円を差し引いた残りの2000万円が財産分与の対象になります。寄与度が二分の一とすると、夫婦それぞれの財産分与額は1000万円ということになります。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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