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家族信託の契約書ひな型について

 

家族信託の契約書の“ひな型”と称して、ホームページや書籍に掲載される方がいます。
そういう方が必ずしも家族信託の実務に精通しているかどうか怪しいというのが真実です。

 

もっとはっきり言うと、精通しているとは到底思えない契約書を掲載している専門家を散見します。
ある意味勇気がある方とも言えるのですが、それが明確に『不適切だ』と指摘できる専門家もそう多くないのでしょうから、掲載している専門家本人も間違いに気付かないケースも多いのでしょう。

 

例えば、信託契約がいつ終わるのか(信託の終了事由)が不明確だったり、そもそも他の条項と整合性が取れない(意図したタイミングで信託を終了できない)というケースがあります。

 

また、≪委託者≠100%当初受益者≫のケース、つまり意図せず“みなし贈与”の概念が生じ、
多額の贈与税が課税される事態に気付いていないケースもあります。

 

家族信託に精通した専門家がお客様に寄り添って、きちんとした信託を設計できれば世の中に不適切な情報が出回ったとしても、結果として事なきを得ることになりますが、専門家に一切相談・依頼せずに信託契約の締結までされる方が増えてきていることが心配でなりません。

 

お客様自身が私文書で信託契約書を作成してしまう限りにおいては、もはや防ぎようもありません。しかし、そのようなケースはお客様の自己責任だから仕方ないと割り切ることもできますが、公証役場に相談をして信託契約公正証書を作成する場合であっても、一般のお客様が持ち込んだ信託契約書案に対して公証人が問題点や矛盾点を指摘してくれるとは限らないことは大きな問題です。

 

公証人も弁護士も家族信託に精通しているケースは稀です。

一般の方に肝に銘じて頂きたいのは、ご自分やご家族が抱える悩みや希望に、どのような対策・選択肢が存在するか(その選択肢の中に家族信託という手段が有るのか)、十分な検討・話し合いの結果家族信託がベター・ベストな選択肢だと言えるのか、家族信託がベター・ベストな選択肢であると結論が出たときにどのような信託を設計しそれを信託契約書の条文にどのように反映させるか、これらの工程について、必ず家族信託の実務に精通した専門家に相談することが必要だということです。

 

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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