その他雑感 司法書士のつぶやき

遺産整理・相続事務を弁護士に依頼して良いか?

5月 25, 2011

遺産相続の問題は、複雑な親族関係なものや相続人間での感情のもつれのあるもの、
遺産が大きいもの、相続債務の返済も含めて長い期間を要するもの・・・、
軽いものからヘビーなものまで本当に様々である。

ただ、相続事務・遺産整理を数多くお手伝いさせて頂いているミヤタとして
一つ言えることは、
『遺産相続で困ったら弁護士に相談する』というのがすべてではない!
ということ。

決して、全国の弁護士さん(尊敬する弁護士さんや仲良しの弁護士さんも多い)を
敵に回す意図ではない。
本当にもめてしまって、これはもう調停なり裁判なりで争いましょうとか、
何を言っても相手に話が通じないというような状況下であれば、
迷わず早めに弁護士さんに相談することは否定しない。

ミヤタも弁護士さんに事案を引継がざるを得ないこともある。
でも、その前に現状を冷静に分析して、今はどんなアクションを起こすのが
ベストな選択肢かを検討する必要がある。

ミヤタの下記の記事にも書いてあるが↓、
https://legalservice.jp/isan.html
こちら側に弁護士が代理人として就任した段階で、ぼぼそれは
相手方相続人にしてみれば『宣戦布告』を受けたに等しい。

なぜなら、弁護士は、依頼人の利益を最大限実現するために
全力を注ぐのが職務だから。

弁護士が「仲裁役」としての役割を負うことは普通はしない。
そのため、単に今まで疎遠だったためにどうやって相手と遺産整理の話を
進めたらいいか分からない場合やこちらが作成した遺産目録等について、
それを裏付ける資料をつけてもっと詳細に検討したいと相手方が言ってきた場合において、
すぐに弁護士を頼むというのは、いささか“勇み足”と言わざるを得ず
あまりお勧めできない。

弁護士を就けるということは、相手方に与えるインパクトは甚大であるが故に
弁護士を立てた方にそんな意図が無くても、
『とことん争うぞ』『白黒はっきりさせてやる』・・・、
そう解釈されるリスクがあることを認識すべきである。

単に客観的な立場の人間にサポートしてほしい場合であれば、他に選択肢はいくつかある。
我々司法書士や行政書士、あるいは顧問税理士が交渉の橋渡し役を
担えるケースもあり得る。

場合によっては、代理人を立てずに直接遺産分割調停を申し立てることで、
裁判所において冷静に話し合いができる可能性もある。
遺産相続・遺産整理の悩みは、非常にナーバスな問題である。

遺産相続に困ったら、弁護士に相談するのはいいけれど、
弁護士を代理人に立てるのは慎重に!
まずは、その前に弊所に来るべきとまでは言わないが、
遺産整理業務の機微に精通したコミュニケーション能力の高い司法書士・行政書士
相談をすべきである・・・。

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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