遺産相続手続・遺産整理・遺言執行

生命保険金を争族対策に活用する正しいやり方

5月 4, 2016

HM135_L将来の相続発生の際に、自宅不動産や自社株式等(事業資産)を複数の相続人に分散させずに特定の後継者に承継させ、残りの資産(預貯金や別荘等)を他の相続人に承継させたいというご相談は多いです。

この場合、ほとんどの方が、後継者に承継させる遺産に見合うだけ他の相続人に渡す代償資産がないという悩みを抱えています。
このようなケースで、活用できる可能性があるのが「生命保険」です。

いざという時の遺族の生活保障、金融資産の増幅、相続税の節税の目的に加え、争族対策・遺留分対策として、生命保険金を利用することができます。
例えば、被相続人Aに長男甲と次男乙の2名の相続人がいるケースを想定します。
共有で相続させるべきでない自宅不動産や事業資産については、後継者である甲に単独で相続させ、乙にはその代償財産として預貯金や有価証券、生命保険金を渡すことで不公平感をなくす方策が考えられます。

このようなケースで、1つ気を付けなければならないことがあります。
兄弟がとても仲良しで、このプランに納得していればリスクは少ないかもしれませんが、もし将来、甲乙間の仲が悪くなり、遺産争いがおきた場合、生命保険金の受取人を誰にしていたかで、大きな問題が生じる可能性があるからです。
最初から生命保険の受取人を乙にしておくことで、乙が納得するケースがほとんどでしょうが、もし乙がそれでも納得できず遺留分の減殺請求を甲に対してしてきた場合、乙の手にした生命保険金は、遺留分算定の基礎に算入されないので、甲は結局多くの代償金を乙に支払わなければならないという事態に陥ります。

最悪の場合、自宅不動産を売却処分しなければならなくなるかもしれません。
そこで、敢えて後継者である甲を生命保険金の受取人に指定し、甲から乙に対し代償金(解決金)として当該保険金を支払うことで遺留分対策とすることができます。

なお、生命保険金を利用した相続対策及び遺留分対策は、長期的な視点に立ち早めに検討をすることが大切です。
もしAが大病を患ったり、かなりの高齢になってからだと保険契約ができなくなる可能性もありますし、そもそも認知症等により判断能力が低下してきてしますと、このような争族対策の手段自体ができなくなるからです。

 

相続税対策・争族(資産承継)対策については、早すぎるということはありませんので、早くから準備・検討を始め、ご本人や家族の環境の変化(例えば、子供の離婚、孫の誕生、事業後継者の変更、誰が自分の介護するか等)に応じてその都度見直すことが理想的です。

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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