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「家族信託」「民事信託」用語集

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【ア行】

空き家信託:独居で暮らす老親が入院・入所したことにより、あるいは死亡したことにより、自宅不動産が空き家になりることがあるが、事前に対策を講じることで空き家を有効利用することができる。その一つの手法として、予め家族や親族に対して家族信託の契約で管理を託しておくというもの。

 

後継ぎ遺贈型受益者連続信託:信託における受益者を、受益者の死亡を原因として何段階にも設定する信託の仕組みのこと。信託法第90条を根拠とする。これにより、通常の民法における相続では実現できなかった数次相続(2次相続以降)における財産の承継先の指定が可能になった。複雑な家族関係を持つ方や後継者を何段階にも指定したい事業経営者(中小企業のオーナー・地主など)にとって、活用の余地が非常に大きい。

 

委託者:信託を設定する者として信託目的・受益者・信託期間等を定め、自己の保有財産を受託者に移転し、信託目的に従い受益者のために受託者にその財産(信託財産)の管理・処分などをさせる者。
つまり、分かりやすく言うと、従来から財産を持っている所有者(オーナー)。
委託者は、信託財産の管理・処分方法について、様々な定めを置くことができる。
また、信託事務の処理の状況等に関する報告請求権や、受託者に対する損失てん補等請求権、受託者・受託監督人等の選任・解任等に関する権利、裁判所の検査を請求する権利が付与されている。

 

親なき後問題:障害者(障害児)を抱えるご家族に関し、親が障害のある子の生活をサポートできない状態(死亡、大病、認知症、事故など)になった後に、どのような形でその子の生涯にわたる生活をサポートする体制を築けるかという問題。役所の障害者福祉課・社会福祉協議会・民生委員・障害者支援団体等との連携、在宅から施設入所への転居、成年後見制度の利用、家族信託や遺言、生命保険の活用など様々な要素を複合的に捉えて対処する必要がある非常に大きな課題。

 

【カ行】

家族信託:受託者を家族・親族にして財産管理を任せる仕組みのこと。
コスト(信託報酬)がかかる信託会社や不動産を預からない信託銀行にはできない、柔軟かつ低コストな財産管理・資産承継の仕組みが実現できるため、高齢者・障がい者の財産管理や相続・事業承継対策の場面で、近年非常に大きな注目を浴びている。生前の財産管理と遺言の機能を持ち合わせている。

 

株式信託:事業承継対策として、あるいは大株主の判断能力喪失による議決権行使不能の事前対策として、さらには大株主の相続税対策として、株式を信託財産とする信託の仕組み。「金銭信託」や「不動産信託」と対比して使われることも多い。

 

金銭信託:現預金を信託財産とする信託の仕組み。
成年後見制度に代わる高齢者・障がい者の財産管理としての活用に加え、認知症発症後も信託財産たる金銭を元手にして利回りの良い不動産を購入するなど相続税対策として活用されるケースも多い。

 

後継受託者:家族信託・民事信託の場合、子や孫・甥姪等の個人が受託者となることが多いため、受託者の死亡や事故、健康状態の悪化等で受託者としての任務が遂行できない場合に備えて、予備的に指定しておく受託者のこと。「当初受託者」が信託契約の当事者になるのに対し、後継受託者たる「第二受託者」や「第三受託者」は、契約の当事者とはならず、いざ就任すべき事態になった時に改めて受託者への就任承諾の是非の意思表示をすることになる。

 

【サ行】

指図権者:信託は、原則として受益者のため受託者が財産管理を遂行するので、何かあれば受益者の意向に従うことになるが、受益者が意思表示できない場合に受益者に代わって受託者に指図をすることができる権限を与えられた者。意思表示できない場合に加え、受益者に代わって専門的知識を有する者に指図する権限を与えておくこともある。主に株式信託の仕組みの中で出てくることが多い。

 

残余財産:信託が所定の終了事由に該当したことにより終了した場合、あるいは信託が合意解除された場合、その時点で残っていた信託財産のこと。

 

自益信託:「委託者=受益者」とする信託の仕組みのこと。
財産の所有者(委託者)がそのまま受益者として、引き続き信託財産の実質的なオーナーとなる(財産権は一切移転しない)ため、贈与税等の税務的な問題を発生させずに、柔軟な財産管理・相続対策を実現できる点で、大きく注目をされている。

 

自己信託:「委託者=受託者」とする信託の仕組みで、「信託宣言」とも言う。
信託法第3条第3項を根拠とする。「委託者=受託者」なので、財産の所有者が単独で設定できる。原則として受益者は、委託者(財産の所有者)以外の者がなるので、自己信託が発動した時点で、財産権が移動したことになり、「みなし贈与」として贈与税の課税対象になる。「親から子への贈与」+「子から親への信託」の機能を持っており、自己信託を設定することで、財産は生前贈与で子に移しておくが、子にすぐに消費されないように、財産の処分権限は親の手元に残しておくことが可能となる。まだ若い子供への贈与や中小企業の事業承継の現場で有効活用されている。

 

受益権売買スキーム:相続・事業承継対策において、流通税軽減のために活用される手法。
相続税対策として、個人が保有する不動産を同族会社たる資産保有法人に売却したい場合、通常の所有権で不動産を売買すると、不動産登記(売買を原因とする所有権移転登記)における登録免許税が土地は1.5%、建物は2%発生する。また、買主たる法人には、不動産取得税3%が課税される。
これに対し、家族信託を活用する方法がある。売買対象不動産を信託財産に入れ(不動産の受益権化)、受益者たる個人が資産保有法人に不動産ではなく「信託受益権」を売却することで、不動産の所有権の売買と同様の効果を実現しつつ、上記流通税(登録免許税・不動産取得税)負担を軽減することが可能となる。
つまり、受益権売買の場合、信託設定時の不動産登記(信託を原因とする所有権移転登記)の登録免許税が土地は0.3%、建物は0.4%、受益権売買時の登記(信託目録の受益者変更登記)の登録免許税は、1物件につき金1,000円となり、また不動産取得税は課税されないで済む。売買対象となる不動産が築年数の浅く評価の高い建物の場合などは、専門職へのコンサルティングフィーの支払いを考慮に入れても、所有権売買よりもコストがかからず大きな効果を発揮するため、非常に注目を集めている。

 

受益者:信託財産から経済的利益を受け取る権利を持つ者。信託財産の実質的なオーナー。信託の仕組みは、この受益者のために存在する。

 

受益者代理人信託行為(遺言・契約など)において指定される、受益者に代わって受益者の権利に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする者。信託法第138条を根拠

 

受益者変更権:信託財産から経済的な利益を得る権利(受益権)を持つ者を受益者というが、これを変更する権限のこと。受益者は、原則として自分の財産である「受益権」を他人に譲渡できるため、この変更権は、受益者以外の者に敢えて与えることになる。受益者自身の判断能力が低下・喪失した場合に、受益者以外の者が財産権を移せるようにしたい(みなし贈与を実行したい)場合や、後継者でない者に渡った株式信託における受益権(会社の経営権たる議決権を含む株式)を本人の意思に関係なく移動させたい場合などに活用できる。受益者変更権者は、受託者でもよいし、受益者以外の第三者でもよい。

 

受益者連続型信託:後継ぎ遺贈型受益者連続信託」の項目を参照下さい。

 

受託者:委託者から財産管理を託された者。財産の管理権限のみならず、処分権限まで託されることも多い。受託者が信託財産の形式的な所有者になるので、信託財産に関しては、従来の所有者に代わって当事者として契約等に臨むことになる。

 

信託監督人:信託目的に従った財産管理が行われているか、受益者のために受託者を見張る(監督・指導)する者。身分や資格の制限は無いが、客観的かつ冷静な監督・指導が求められるので、家族・親族ではない第三者(司法書士・税理士など)が就任する方が好ましい場合も多い。受託者を解任して、新たな受託者を選任する権限を持たすことも可能。

 

信託監督人報酬:受託者の財産管理業務を定期的にチェックしたり、受託者に寄り添って相談にのる信託監督人の業務に対する報酬。信託財産から支払うのを原則とする。相場はあってないようなものではあるは、月額数千円から数万円というのが一般的。

 

信託期間:信託が存続する期間のこと。受益者の死亡により終了するパターン、あるいは特に契約期間を設けず受託者と受益者と合意で終了するパターンが多い。なお、後継ぎ遺贈型受益者連続信託の場合は、法律上の期間制限があるが、受益者連続型(2次、3次・・・と次順位受益者を指定する信託)でなければ、法律上の期間制限は無い。

 

信託口口座:受益者の現金を管理するための預貯金口座で、口座名義上信託財産の管理であることが分かるもの。『委託者 ○○○○ 受託者 ×××× 信託口』や『○○○○ 信託受託者 ×××× 信託口』のような口座名義にするのが理想的だが、このような口座を作成してくれる金融機関は全国でもまだ少ない。

 

信託契約:実現したい内容(=信託目的)や財産管理の方針を定めて、委託者と受託者の間で交わす財産の管理・処分を任せる契約のこと。例えば、老親(委託者)が長男(受託者)に対して、老親の保有する現預金や土地・建物の管理を信託契約で託し、長男はその信託目的に従って、親(受益者)のために、託された財産(信託財産)の管理や処分を行うことになる。

 

新信託法:1922年(大正11年)の制定された信託法が、2006年(平成18年)に全面改正され、2007年(平成19年)9月に施行された新しい信託法のこと。制定以来84年ぶりに改正された新信託法では、信託に対する現代社会のニーズを反映し、そのルールが大幅に見直された。主なポイントとしては、下記の3点。
(1)受託者の義務等の内容を適切な要件の下で合理化
(2)受益者の権利行使の実効性・機動性を高めるための規律の整備
(3)多様な信託の利用形態に対応するための制度の整備

 

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信託行為:信託を設定する方法のこと。信託法第3条を根拠とし、「契約」「遺言」「自己信託」の3つがある。

 

信託財産:委託者(財産の所有者)が受託者に管理(処分)を任せる財産のこと。財産的な価値のあるものは、ほぼ信託財産になりうるが、家族信託における代表的な信託財産は、不動産、現預金、未上場株式。

 

信託財産目録:信託契約書などとセットで作成する信託財産の一覧。受託者は、信託財産の内容に変動(例えば、信託不動産の売却、購入、買換え、建物建設・解体、並びにそれらに伴う信託金銭の増減など)があった場合には、速やかに信託財産目録記載の財産を追加・削除・修正しておき、委託者又は受益者からの求めに応じて速やかに報告できるようにしておくことが求められる。

 

信託事務:信託行為に従い受託者が行う信託に関する業務のこと。

 

信託受益権:信託財産から経済的利益を受け取る権利のこと。理論上は、「元本受益権」と「収益受益権」に分けられる。例えば、収益不動産(アパートなど)を信託財産とした場合、当該不動産そのものの財産的価値が元本受益権となり、毎月の賃料収入が収益受益権となる。しかし、家族信託においては、上記二つをまとめて一つの「信託受益権」としてシンプルに考えるケースがほとんどであり、「所有権」としての財産がそのまま「信託受益権」という財産に変わったと考えればよい(財産権としての評価は変わらない)。

 

信託専用口座:受託者名義の信託財産の分別管理用の口座のこと。金融機関における「信託口口座」の作成がスムーズにいかない金融実務の現状を踏まえ、受託者の個人口座を新規で作成し、それを信託契約書に口座番号まで明記することで、名義は受託者であるがその中身の預金は親(受益者)のものであるとする信託実務上の取扱いをする口座。

 

信託の終了事由:信託法第56条に規定される信託が終了する事由(条件)のこと。一般的には、「受益者の死亡」や「受託者の死亡」、「信託契約日より●年間」、「信託財産の消滅」といった終了事由を規定することが多い。

 

信託不動産の売買:信託不動産は、受託者が所有権の登記名義人になり、登記簿に「受託者」という肩書付で受託者の住所氏名が記載される。これにより、受託者は売買契約書の締結や物件の引渡し手続きを全面的に担う。この不動産売買にあたり、司法書士による本人の意思確認手続きは受託者に対して行われ、受益者の本人確認は原則必要ない。なお、当該売買取引に介在する不動産業者は、通常の宅建業免許に基づく仲介手数料を受領できる(金商2種の免許は不要)。

 

信託報酬:受託者が遂行する信託事務に対する対価。受託者は、信託契約書などに記載された信託報酬を支払う旨の条項を根拠として信託財産から受領する。月払いでも年払いでもよいし、報酬は定額(例えば、「月額金○○円」)、でも定率(例えば、「毎月の賃料収入の5%」)でも自由に設定できる。

 

信託目的:委任者(財産の所有者)が受託者に財産の管理を任せるにあたってよりどころとなる、実現したい内容や受託者の行動指針のこと。受託者は、この信託目的に従って、受益者のために財産の管理を行わなければならない。

 

清算受託者:信託が終了した後の信託事務を遂行する立場の者。未払いの諸費用の支払い、未回収の賃料等の回収、残余財産の帰属権利者への引き渡しなどが主な任務となる。実務上は、信託終了時点の受託者がそのまま清算受託者になるケースが一般的だが、法律専門職が就任することもある(清算受託者は、信託業法の規制の対象外)。

 

誠実義務

 

【タ行】

他益信託:財産の所有者(委託者)と受益者が異なる信託の仕組み。信託が発動(信託契約や遺言の発効)した時点で、財産権が他人に移ったことになるので、税務的な論点が生じる。つまり、所有者の生前に財産権が移動すれば、「みなし贈与」として、贈与税の課税対象になり、所有者の死亡により財産権が移動すれば、「みなし相続」として、相続税の課税対象になる。

 

忠実義務:信託法第30条に規定された受託者の義務。受託者は、もっぱら受益者の利益のために信託事務を遂行しなければならない。受託者が受益者に代わって信託財産を受益者以外の者に暦年贈与することは、忠実義務違反の可能性が高いと言える。

 

追加信託:信託発動後に、信託財産に追加してその管理を任せること。換価分割と代償分割の税務 ≪譲渡所得税≫
予め信託契約の中で追加信託の条項を定めておくことで、金銭の追加信託は、その都度信託契約を交わさずに信託財産への追加ができ非常に便利。

 

【ハ行】

福祉型信託:認知症高齢者や障害者等の社会的弱者の生活支援や財産管理をする意図で活用する信託の俗称。

 

不動産信託:不動産を信託財産として、その適正な管理や有効活用、承継先指定を実現するための信託の仕組み。信託銀行は不動産を預からないため、特に高齢者や障がい者が持つ不動産を家族信託の仕組みを活用して管理・処分するニーズが高まっている。つまり、信託財産たる不動産の売却、購入、建設等に関する「本人確認」は、受託者に対して行われるので、信託発動後は、受益者の健康状態・判断能力の存否に影響されない財産管理が可能となる。

 

分別管理義務:信託法第34条に基づく受託者の義務。受託者(子)は、託された信託財産と固有財産(親の所有権財産や子の財産)とを混同しないように、分別して管理しなければならない。なお、登記又は登録をすることができる財産(不動産、船舶、自動車など)は登記又は登録をすることが求められる。

 

【ヤ行】

遺言信託:遺言書の中で信託を設定すること。信託法第3条第2項を根拠とする。あくまで遺言なので、遺言者が死亡するまで効力は発生しないし、遺言者がいつでも自由に書き換えられることは、通常の遺言と同じ。遺言信託作成時においては、受託者や受益者の事前の承諾等は不要。「遺書」とは

 

遺言信託業務:信託銀行が主に富裕層向けに展開するサービスの一つで、≪遺言公正証書作成サポート≫と将来の≪遺言執行サービス≫がセットになったもの。いわゆる“遺言書信託”であって、本来の法律的な意味の「遺言信託」とは全く別の概念になるので非常に紛らわしい。

 

遺言代用信託:信託契約の中で、当初受益者の亡き後の承継者(第二受益者や残余財産の帰属権利者など)の指定の条項があるもの、つまり遺言の機能を持った信託のこと。

 

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