相続が発生したら、49日の法要明けくらいからでも結構ですので、まずは、下記(1)から(5)の作業イメージのとおり、「積極財産(資産)」と「消極財産(債務や未払いの入院費・税金等)」を分かる範囲内で洗い出す作業を始めましょう。
(1)何はともあれ、個人の遺志を書き記した遺言書が有るかどうか確認しましょう。貸金庫を借りている場合は、貸金庫に入っている可能性もありますので注意が必要です。
(2)大まかなプラスの財産を把握しましょう。下記の遺産が有るかどうかを確認すると良いでしょう。
□ 自宅やアパート、駐車場、別荘、田舎の土地、郊外の原野・農地、山林などの「不動産」
□ 「現金」と「預貯金」
□ 証券会社に預けてある株式・国債・投資信託などの「有価証券類」
□ 「自動車」
□ 「ゴルフ会員権」
□ 貸付金や売掛金、未払い役員報酬などの「債権」
□ 「金地金(きんじがね)」
□ ダイヤモンドなどの指輪・ネックレスなどの「宝飾品(貴金属類)」
□ 掛け軸、壺、茶器、絵画などの「骨董品」
(3)「債務」(未払いの医療費・税金・施設の退去費用など)及び「諸費用」(葬儀・告別式、納骨等にかかった費用)も重要です。特に諸費用についての請求書や領収書はなくさないようにきちんと保管しましょう。
(4)医療保険や生命保険の加入の有無、保険金請求ができるかについて確認しましょう。そもそも保険が有るかどうかは、保険証券の有無や保険料が口座から引き落されていないかの確認を試みたいです。
(5)上記(2)のプラスの資産と上記(3)のマイナスの資産との差である正味財産がどれ位あるか、大雑把にでも全体の資産規模をつかむことは、相続税の申告義務・納税義務の有無を大変重要です。
遺産の正味財産額(A)から法定相続人の数に基づく相続税の基礎控除額(B)(=3000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いた場合に、その差額がプラスであれば、相続税の申告義務が必要である可能性が出てきます(生命保険の死亡保険金も「みなし相続財産」として相続税の課税対象になりますが、ここでは分かりやすくするために除いております。)。
反対に、【(A)-(B)】がマイナスであれば、相続税の申告義務・納税義務すは無いということになります。
※ 不動産については、相続税上の評価は、「路線価」が基準になります。路線価に基づく相続税評価額は、自分で算出する必要がありますので、まずは暫定的に「固定資産税評価証明書」(毎年送付されて来る固定資産税納税通知書に記載された不動産の価格)を把握するだけでも良いでしょう。
★相続税の申告義務や納税義務が発生する場合は、相続発生から10ヶ月以内に税務署への手続きが必要ですので、スケジュールの管理が重要になってきます。
★故人が遺した遺言がないようでしたら、法定相続人全員で「遺産分割協議」をする必要がありますので、相続税の負担や節税の観点も考慮しながら、相続人間の希望と被相続人の遺志を汲んでどのように遺産を分けるかを話し合いましょう。