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事故物件の告知義務指針を国交省が公表!

10月 14, 2021

2021年10月3日付の日本経済新聞の記事によりますと、国土交通省は、入居者らが死亡した住宅を取引(売却や賃貸)する際の宅建業者による告知義務に関するガイドラインを公表しました。

 

※ このガイドラインに関する国土交通省のホームページはこちら ↓
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00029.html

 

物件内において自殺や孤独死、殺人事件などが起きた場合、いわゆる“事故物件”として扱われ、新たな買い手や借り手がつきにくい事態になりますが、これまで、この“事故物件”についての明確な定義付けやルールはありませんでした。
そのため、特に賃貸物件においては、孤独死による事故物件化を防ぐ意図から、単身高齢者の入居が断られるケースも多発していました。

そこで、国交省は、“事故物件”の判断基準を示すことにより、売買や賃貸における取引の安定化・トラブル防止を図ることにしました。

詳しくは後述致しますが、国交省は、そのガイドラインの中で、人の死に関する事案が「取引相手の判断に重要な影響を及ぼす場合」は、告知するのが原則としつつ、入居者が病気や老衰による「自然死」の場合、あるいは、階段での転落死や入浴中の溺死など「不慮の死」の場合は、原則として、不動産仲介業者が買主側や借主側に告知する義務はないと明記しました。
なお、このガイドラインの対象となる不動産は、マンションやアパート、一戸建てなどの「住宅」となります。

 

宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』↓
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001426603.pdf

 

【ガイドラインの重要ポイント】

★主として、下記の①②に該当する場合は、宅地建物取引業者が不動産取引の相手方に告げなくてもよいとされました。

賃貸借取引及び売買取引において「自然死」又は日常生活の中での「不慮の死」が発生した場合

老衰、持病による病死など、いわゆる「自然死」については、自宅における死因割合のうち9割を占めると言われており、自然死は当然に予想されるものであるので、これを告知する義務を課さないことにしました。
また、自然死の他、事故死に相当するものであっても、自宅の階段からの転落や、入浴中の溺死や転倒事故、食事中の誤嚥など、日常生活の中で生じた不慮の事故による死については、そのような死が生ずることは当然に予想されるものであり、これが買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いと考えられることから、賃貸借取引及び売買取引いずれの場合も、自然死と同様に、原則として、これを告げなくてもよいものとしました。
ただし、自然死や不慮の死の場合であっても、当該居室内において発見が遅れ長期間にわたって放置されたこと等に伴い、いわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等が行われた場合においては、買主・借主が契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えられるため、告知義務が生じるものとしました。

賃貸借取引において、①以外の死が発生又は特殊清掃等が行われることとなった①の死が発覚して、その後概ね3年が経過した場合

上記①以外の死とは、自殺や他殺を想定していますが、自殺や他殺の場合であっても、その発生から3年が経過すれば、「賃貸借取引」に限っては告知義務を課さないものとしました。

 

★その他の留意事項

買主や借主から居住者の死亡に関する事情について問われた場合や、その社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると宅地建物取引業者が認識した場合等においては、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすとして、把握している事実を告げる義務があるとされています。

㋑告知義務にもとづき、これらの事実を告げる際には、個人情報の取り扱いに十分配慮し、住所・氏名・年齢・家族構成や具体的な死の態様、発見状況等を告げる必要はないとされています。

㋒買主・借主に事案の存在を告げる際には、後日のトラブル防止の観点から、書面の交付等によることが望ましいとされています。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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