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お子さまやお孫さまがいらっしゃる方の中には、教育にかかる資金を援助したいとお考えの方も多いでしょう。そんな時は「教育資金贈与信託」の活用をご検討されるのがおすすめです。
そこで今回は、教育資金贈与信託とはどのような制度なのか、手続きの流れもあわせて簡潔に解説します。
教育資金贈与信託とは?
「教育資金贈与信託」とは、租税特別措置法第70条の2の2を法的根拠とする「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」を利用して、子や孫の教育資金を援助する際に、贈与を受ける人「一人当たり1,500万円」を限度に贈与税が非課税となる制度です。※
※現時点では、令和8年(2026年)3月31日までに信託契約を締結されたものに限られます。
「教育資金」の定義とは?
この制度における「教育資金」の定義は、下記の2つになります。
1. 学校等(※1)に対して直接支払われる下記のような金銭
㋐ 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学試験(入園試験)の検定料など
㋑学用品の購入費(※2)、修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など
(※1) 「学校等」とは、学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専 修学校及び各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園又は保育所などを指します。また、一定の条件を満たす海外の教育機関や日本国内のインターナショナルスクールなどの学費も対象に含まれます。
(※2)教科書、リコーダー・書道セット・裁縫セットなどの副教材費、ランドセル、制服・体操着・ジャージなどが対象になります。
2. 学校等以外の者に対して直接支払われる下記のような金銭で教育を受けるために支払われるものとし て社会通念上相当と認められるもの
A) 役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの
㋒ 教育(学習塾、予備校、家庭教師、そろばんなど)に関する役務の提供の対価(月謝)や施設の使用料など
㋓ スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、習字、絵画など)その他教養の向上 のための活動に係る指導への対価など
㋔ 上記㋒の役務の提供又は上記㋓の指導で使用する物品の購入に要する金銭
B)上記A)以外(物品の販売店など)に支払われるもの
㋕ 上記㋑に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの
㋖ 通学定期券代、留学(※3)のための渡航費などの交通費
(※3)学校の授業やカリキュラムの一環ではなく、個人的に語学学校に通う場合、海外 の学校等に通わないホームステイ、海外ボランティア、海外インターンシップ、ワー キングホリデー等は、本制度における「留学」とはなりません。
教育資金贈与信託に利用に際して注意すべき点
- 贈与を受ける子や孫(受益者)の年齢が30歳未満であることが必要です。
- 信託を設定する日または信託財産を追加する日の前年における受益者の合計所得金額が1,000万円以下であることが必要です。
- 原則として、受益者が30歳になったときにこの制度(信託契約)は終了しますので、その時点の残余財産(口座残高)に贈与税が課税されます。ただし、受益者が30歳を過ぎても学生(受講生)であれば、贈与税は課税されず、その後、受益者が学生(受講生)ではなくなった年の年末、又は40歳になった時点で残余財産があれば、贈与税が課税されます。
- 一旦この制度を利用すると(信託契約をすると)途中で解約ができません(贈与した委託者に教育資金を戻すことができません。)。
- 受益者が死亡した時点でこの制度(信託契約)は終了しますので、残余財産は受益者の相続人に相続され、相続税の課税対象となります。
上記(3)及び(4)により、必要以上の金銭を受託者に信託して使い切れなくなってしまうと、結果的に残った資金に贈与税が課税されてしまうリスクがありますので、安易に信託することのないよう配慮が必要です。
教育資金贈与信託を利用する際の流れ
1. 信託銀行等(受託者)に対し金銭を信託する
教育資金を贈与する者(委託者)は、信託銀行等(受託者)と信託契約を結び、金銭を信託します。その際には、贈与を受ける子や孫(受益者)が30歳未満であることや、合計所得が1,000万円以下であることを証明するために書類の提出が必要になります。
2. 受託者を経由して必要書類を税務署に提出する
受益者は、信託契約を締結後、非課税措置を受けるために必要な書類を受託者を経由して税務署に提出します。受益者が未成年の場合は、親権者が対応することになります。
3. 教育資金が必要になった時に受益者が受託者に信託金銭の給付を請求する
受益者が教育資金を支出した場合、贈与者側の関与を要せずに、受益者が直接受託者に対して、その証拠となる領収書などを提出して信託金銭の給付を請求します。
以上、今回は「教育資金贈与信託」とはどのような制度なのか、手続きの流れもあわせて簡潔に解説しました。
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