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離婚協議・財産分与・養育費

【財産分与】住宅ローン付不動産を財産分与で名義変更できますか?

12月 1, 2015

(1)不動産名義を住宅ローンが完済するまで夫名義とし、完済後に妻に財産分与で移転登記するやり夫が主債務者となっている住宅ローン付き不動産(名義は夫100%か夫婦共有)を財産分与で妻100%名義にしたいという相談は、かなり多いです。

財産分与による所有権移転登記手続きだけ考えた場合は、住宅ローン(抵当権)が付いていても、単純に妻100%名義にすること自体は可能で、登記手続としては難しいことではありません。

しかし、法律的には多分に問題をはらんでいます。

住宅ローンを融資してもらう際に締結する「金銭消費貸借契約書」には、一般的に次のような主旨の条項が盛り込まれていることが多いです。
「抵当物件の所有者が所有権を第三者に譲渡する(名義を変更する)場合は、事前に銀行の承諾を得なくてはならない。」

つまり、銀行の承諾なしで勝手に所有権を妻に移転することは、銀行との契約に違反することになります。

したがいまして、本来であれば銀行に承諾を貰うべく事前に話をすることになりますが、通常銀行は快くOKとは言わないでしょう。
住宅ローンの債務者と当該住宅の居住者が異なることは、住宅ローンの本来の趣旨から逸脱するからです。
では、妻名義にすると同時に住宅ローンの債務者も妻とすれば、どうでしょうか。

もし妻にもある程度の安定した収入があれば、改めて銀行の融資審査が通るので問題はないでしょう。
しかし、専業主婦だったり、パート等で夫に比べて収入が大幅に少ないケースでは、融資の審査は通りません。
そうなると実際に取るべき手法は、住宅ローンはそのまま維持した上で、次の2つの中から選択することになるでしょう。

 

(1)不動産名義を住宅ローンが完済するまで夫名義とし、完済後に妻に財産分与で移転登記するやり方

妻は、履行引受という形で夫名義の住宅ローンの返済を続けていくことになります。
この手法ですと、住宅ローン完済まで長い年月を要し、妻としては、他人名義の不動産に居住するという不安定な地位を強いられる形になってしまいます。
したがって、この手法を選択する場合は、勝手に夫側に売却等をされないように不動産に仮登記を入れておく等の対策を講じておく必要があります。
なお、この場合、夫が受託ローン控除を受けることはできなくなります。

※参照記事はこちら ↓↓↓
離婚に伴う財産分与と住宅ローン控除の可否

(2)リスクを承知で妻名義に所有権を移転するやり方

契約書の規定に従い、銀行に事前に承諾を求めることは可能ですが、承諾を得られる保障はありません。
したがって、リスクを承知で銀行への連絡をせずに妻に所有権を移転する手法が考えられます。
実務上は、住宅ローンの支払いが滞らない限り、銀行がこの事実を把握しても問題になる可能性は低いと言えます。

しかし、契約違反にはなり得ますので、法律家としてお勧めすることはできません。
もしローンが滞った場合、悪質だとして、リスケジュール(返済計画の見直しや返済猶予)に関して通常のケースよりも融通をきかせてもらえず強制競売される可能性もゼロではないことを認識してこの手段を選択する必要があります。

また、債務者である夫がローンを残して死亡した場合、通常であれば『団体信用保険』、いわゆる“だんしん”が下りてローンが完済されることになりますが、勝手に妻名義にしたことにより契約違反を理由に保険金の支払いがなされない可能性もあります。つまり、債務者が死亡してもローンがそのまま残るリスクが出てきます。

 

上記のいずれの方法をとるにせよ、後々トラブルにならないように、誰がどのような形で住宅ローンを返済していくのか等を離婚協議公正証書の中でしっかりと法的に確定しておく必要があります。

まずは、お一人で悩まずに専門家にご相談下さいませ。
きっと最適な解決策が見つかるはずです。

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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