信託契約自体は、公正証書にせずとも、当事者(委託者及び受託者)の調印書面があれば有効となります。
信託契約に基づいて、不動産の登記手続きを行う際も、必ずしも公正証書で作成しておく必要はありません。
しかしながら、不動産等の高額な財産管理に関する非常に重要な契約であり、長期的にみて利害関係人の資産活用を拘束・制限することにもなりかねませんので、必ず公正証書で契約を締結されることをお勧めいたします。
公証人の立ち合いの下、公正証書を作成しておくことで、契約書としての証拠能力が
高まりますと共に、公証人のフィルターを通した本人確認ができますので、
後日委託者の判断応力の欠如等が問題となることを防げる可能性が高まります。
つまり、将来的に紛争等が発生し、「契約時点での契約書の有効性(例えば
当事者の判断能力が正常であること)」が争点となった場合には、
公正証書の方が有効であると言えます。
また、日付のバックデートや印鑑の無断流用等について、利害関係人から
指摘を受けることも無くなりますし、原本を紛失しても、
再発行することができるという点においても、公正証書は安心です。
当職は、仲の良い家族であっても、将来的に紛争が発生しない保証はありませんので、
公正証書にしないことのリスクをお客様に充分に説明し、
出来る限り公正証書を作成することを推奨すべきと考えております。