TEL:0422-23-7808 TEL:0422-23-7808 営業時間 平日8:30 ― 19:00

家族信託

家族信託における「委託者の地位」の承継と登録免許税

12月 6, 2020

世の中に出回っている家族信託・民事信託の契約書の文例において、「委託者の地位は、相続により消滅し相続人に承継されない」という条項を非常に多く見かけます。

このような条項を置くことの趣旨は、委託者兼当初受益者の死亡によって、「後継受益者」(委託者の死亡により信託契約が終了する“一代限り”の信託の場合は「残余財産の帰属権利者」)に指定されていない他の法定相続人に委託者の地位が引き継がれ、当該相続人が委託者の地位を活かし悪意をもって当該信託に対し妨害・攻撃するような行為することを防ぐためと考えられます。

しかし、“一代限り”の信託の場合は、もし委託者の生前において実行された受託者による財産管理に問題があった際には、委託者の地位を消滅させる条項があったとしても、故人の法定相続人としてその遺産についての直接の利害関係人として権利・異議を主張することはできてしまいます。
つまり、“一代限り”の信託の場合、委託者の地位の消滅に関する条項を置く意味は、実質的に無いと考えます。

一方で、“受益者連続型信託”の場合、当初受益者死亡後の後継受益者の代になったときに、後継受益者が自分の固有財産をその信託財産に「追加信託」すること(後継受益者も財産を託す主体である委託者になること)は当然に想定しますので、実務上は、やはり委託者の地位を消滅させ遮断する意味はあまりないと言えます。
むしろ、信託財産に不動産が含まれる場合において、信託終了に伴う「所有権移転及び信託登記抹消」の登記手続きにおける登録免許税の適用税率の問題(登録免許税法第7条第2項の適用の可否)を踏まえますと、“受益者連続型信託”の際には「委託者の地位は、相続により承継せず、受益者の地位と共に移転する」旨の条項を置くことが家族信託の実務においては、ベターとされます。

これにより、前述の他の法定相続人からの妨害・攻撃の懸念を少しでも防止することを意図できますし、これから申し上げます登録免許税法第7条第2項への対応も可能になります。

 

********************************
【登録免許税法】
第7条第2項
信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合であつて、かつ、当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合において、当該受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人(当該委託者が合併により消滅した場合にあつては、当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人)であるときは、当該信託による財産権の移転の登記又は登録を相続(当該受益者が当該存続する法人又は当該設立された法人である場合にあつては、合併)による財産権の移転の登記又は登録とみなして、この法律の規定を適用する。
********************************

※この登録免許税法第7条第2項の趣旨は、実質的に「相続」に準じる不動産の承継に関する信託登記であれば、信託終了に伴う「所有権移転及び信託登記の抹消」登記手続きにも、「相続登記」と同じ「0.4%」という税率を適用しましょう、というものです(信託終了に伴う登記の登録免許税率は、原則「2%」であるので、軽減する趣旨となります)。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

詳しいプロフィールはこちら

-家族信託
-, , , , , ,

© 2022 家族信託なら東京・吉祥寺の宮田総合法務事務所 無料法律相談を実施中! Powered by AFFINGER5