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家族信託

家族信託で受益者を複数にした場合の信託目録の受益者欄への受益権割合の記載

2月 5, 2021

不動産を信託財産に入れた場合、当該不動産の登記簿には、信託財産になった旨だけではなく、受託者や受益者の住所・氏名の他、信託契約の条項の中で特に当該不動産の管理・処分等に関係しうる契約条項は登記簿(信託目録)に記載することになります。
実際に何を登記簿に記載すべきかということは、不動産登記法第97条に信託登記の登記事項(「信託目録」の記載事項)として規定されています。

ここで実務上一つ問題となるのが、信託目録の受益者欄の記載です。
信託目録の受益者欄には、通常は受益者の住所・氏名が記載されます。
そのため、受益者が1名の場合は問題ないのですが、受益者が複数の場合、各受益者が有する受益権割合については、受益者欄に記載するのか(記載できるのか)という問題です。

前述の不動産登記法第97条の中では、「受益者の氏名及び住所」とまでしか規定されていないため、条文をそのまま素直に読めば、受益者が複数となる場合、その受益権割合まで記載を要しない(記載できない)と解釈できます。

では実際はどうかということにつき、弊所が登記手続きを受任したケースをご紹介しましょう。
当初受益者がお亡くなりになり、第二受益者が2名でそれぞれ50%ずつの受益権を取得したケースです。この場合、信託目録の受益者欄に「受益権割合2分の1 A」「受益権割合2分の1 B」と受益者ごとに受益割合の記載をしてもらったことがあります。
一方で、法務局によっては、受益権割合の記載を拒否されたという話も聞きます。
現時点では、法務局により対応が異なることも想定されますので、事前に管轄法務局に照会・確認をされるのが良いでしょう。

受益権割合が信託目録の受益者欄に記載できない、あるいは記載を要しないとすれば、受益権の一部を何年もかけて少しずつ暦年贈与していく計画がある場合や受益者変更権を行使して、実質的に暦年贈与に類する受益権の“みなし贈与”を実行する場合において、毎年の受益権割合の変動を都度都度変更登記できない(あるいは変更登記をしなくて済む)ことにもなります。

私見としては、受益者こそが信託財産の持ち主であり、受益権割合こそが、その信託財産をどのような比率で持ち合っているかを示す重要な情報の一つであるので、登記の公示機能としては、受益権割合も記載すべきだと考えます。

【参考条文】
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★不動産登記法
(信託の登記の登記事項)
第97条 信託の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所
二 受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め
三 信託管理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
四 受益者代理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
五 信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項に規定する受益証券発行信託であるときは、その旨
六 信託法第二百五十八条第一項に規定する受益者の定めのない信託であるときは、その旨
七 公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第一条に規定する公益信託であるときは、その旨
八 信託の目的
九 信託財産の管理方法
十 信託の終了の事由
十一 その他の信託の条項
2 前項第二号から第六号までに掲げる事項のいずれかを登記したときは、同項第一号の受益者(同項第四号に掲げる事項を登記した場合にあっては、当該受益者代理人が代理する受益者に限る。)の氏名又は名称及び住所を登記することを要しない。
3 登記官は、第一項各号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託目録を作成することができる。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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