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株式信託と「指図権」

8月 27, 2021

自社株式を信託財産として管理・処分を任せる『株式信託』を実行すると、株主としての権利、具体的には株主総会における議決権の行使(各議案についての賛否)や株の配当金の受領などは、受託者が担うことになります。
「議決権の行使=経営権」とも言えますので、株式信託の実行により、経営判断が凍結しない代わりに、経営権が受託者に移ってしまうような形になる懸念が生じます。

しかし、実務的には、株式信託特有の仕組みの中で「指図権」という権限を設ける方法によりこの懸念を払拭するのが一般的です。
株主総会における議決権の行使に関しては、受託者が自己の裁量と責任において議決権を行使できるのを原則としながらも、株主総会において受託者が投じる各議案の賛成・反対の票について指図をすることが可能です。
この指図する権限を「指図権」と言い、その権限を持つ者を「指図権者」と言います。

大株主たる受益者を信託契約書の中で指図権者に指名することにより、大株主たる現経営者が元気なうちは、受託者に議決権行使の内容に指示を出すことができますので(=指図権の行使)、元気でいる限りにおいては、実質的な経営権は、現経営者が保持し続けることになります。

もし現経営者が急病や事故、認知症などで経営判断が適切にできないような健康状態になった場合は、原則に戻り、受託者が議決権の行使をする、つまり状況に応じた経営判断をすることができます。

このように、会社経営におけるリスク対策として、非常に効果的な方策になりますので、高齢の大株主だけではなく、どんな年齢層の株主でも死亡以外の原因で経営判断ができなくなるリスクに備える方策として、全ての中小企業に検討すべき課題だと言えるでしょう。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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