基本的に、相続が発生しただけで自動的に故人の預貯金口座が凍結されてしまうことはありません。
例外として、ニュース等で報道されてしまうような著名人・文化人・地元の名士であれば、金融機関も把握できますので、口座を凍結することもあり得るかもしれません。
あるいは、人と人との結びつきが強い地方の田舎町では、誰の葬儀が行われたかが容易に把握できたり、地方紙の“お悔み欄”の掲載記事により死亡が把握できれば、金融機関が自主的に凍結することもあり得るでしょう。
しかし、都市部における相続のほとんどの場合、一般個人の方の相続発生を銀行等の金融機関が把握することは、まずありません。
銀行口座が凍結される多くの場合、相続人の一部が自ら申告するか、うっかりその旨を口に出してしまったことによります(例えば、葬儀費用の引出しの相談や相続届書の交付依頼等)。
あるいは、相続人間で紛争性がある場合において、悪意のある相続人の一部が意図的に銀行に連絡をして口座を凍結させるケースもあります。
故人の銀行口座において、公共料金や固定資産税、マンションの管理費等が自動引落となっているケースも非常に多いです。
口座が凍結されてしまうと、これらが自動引き落としされず、滞納扱いになってしまうこともありますので、相続が発生した旨の金融機関への連絡は、そのタイミングを充分検討することも必要です。
残高が僅かしかない場合、敢えて口座凍結をさせずに自動引落を継続させて残高をゼロに近づけることもありますし、遺産分割協議が整うタイミングまで敢えて連絡しないということもあります。