遺産相続手続・遺産整理・遺言執行

生前贈与も相続税の課税対象になりますか?

9月 9, 2016

生前贈与された財産が相続税の課税対象財産に組み込まれる場合があります。
いわゆる“贈与財産の加算制度”と呼ばれるものです。

“贈与財産の加算制度”とは、『相続又は遺贈によって財産を取得した人が、被相続人から相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)に生前贈与によって財産を取得しているときは、その贈与のあった時の贈与財産の価格を相続税の課税価格に加算し、その加算後の金額を相続税の課税価格とみなして相続税を計算する』というものです。

裏を返せば、被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けた者であっても、その者が相続又は遺贈により財産を取得しなければ、その贈与財産が相続税の課税価格に加算されることはありません。
つまり、法定相続人ではない孫への生前贈与を行うことで、相続開始の直前でも実行できる大変有効な相続税対策の1つとなり得るといえます(遺贈で財産を貰わないことも条件となりますが)。

なお、相続税の課税対象財産に加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された人の相続税の計算上控除されることになります。
加算される価額の基になる贈与財産の範囲と控除する贈与税額は次のとおりです。

 

※ 被相続人から相続や遺贈により、租税特別措置法第70条の2の3(直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税)第10項第2号に規定する管理残額以外の財産を取得しなかった人(相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得している人を除きます。)については、相続開始前3年以内に被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産であってもその価額は、相続税の課税価格に加算されません。

1 加算する贈与財産の範囲
被相続人から生前に贈与された財産のうち相続開始前3年以内に贈与されたもの。
3年以内であれば贈与税がかかっていたかどうかに関係なく加算。
つまり、基礎控除額110万円以下の贈与財産や死亡した年に贈与されている財産の価額も加算されます。

2 加算しない贈与財産の範囲1603_zeimukaikeia01
被相続人から生前に贈与された財産であっても、次の財産については加算されません。
(1) 贈与税の配偶者控除の特例を受けている又は受けようとする財産のうち、その配偶者控除額に相当する金額
(2) 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた金額
(3) 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、非課税の適用を受けた金額
(4) 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた金額

3 控除する贈与税額
控除する贈与税額は、相続税の課税価格に加算された贈与財産に係る贈与税の税額です。
ただし、加算税、延滞税、利子税の額は含まれません。

 

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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