結論として、遺言執行者は、遺言内容も・遺産の内容も相続人全員に開示義務があります。
遺言書の中で遺言執行者が指定されている場合でも、相続発生後に家庭裁判所で遺言執行者選任審判が出た場合でも、指定された者がその就任を承諾したときは、遺言執行者は、「遺言書があること」及び「自分が遺言執行者に就任したこと」をすべての相続人・受遺者に通知する必要があります(民法第1007条第2項)。
この通知をしておかないと、相続人が遺言や遺言執行者の存在を知らずに、遺産分割協議を始めたり、遺産を処分してしまうことも考えられるためです。
なお、実務上、この通知には遺言書のコピーを添付し、遺言内容も同時に開示することになります。
また、遺言執行者は、遺産を調査し、不動産・現預金・有価証券・動産類などのプラスの財産をリストアップするだけではなく、未払いの税金・医療費・施設利用料・家賃・ローン・借金などマイナスの財産も含めた、すべての遺産を特定する役割を担います。
そして、それを一覧にした「財産目録(遺産目録)」を作成し、相続人全員に開示する義務があります(民法第1011条第1項)。
これらの義務は、司法書士・弁護士・行政書士等の法律専門職が遺言執行者になる場合に限らず、家族・親族が遺言執行者になる場合にも課せられていますので、ご注意ください。
遺言執行・遺言執行者に関するご相談は、遺言書作成・遺言執行・遺産整理を得意とする司法書士宮田総合法務事務所までお気軽にご相談下さい!
【参考条文:民法】
(遺言執行者の任務の開始)
第1007条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
(相続財産の目録の作成)
第1011条 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。