契約書作成・契約書のリーガルチェック

アパート・借家等の賃貸借契約締結時における注意点

7月 4, 2011

滞納賃料の督促、賃料増減額の交渉、原状回復義務の範囲と敷金返還、ゴミ・悪臭・ペット等の近隣トラブル・・・、不動産の賃貸借の問題は何かとトラブルの多いものです。
そこで、アパート・マンション・戸建等の建物の賃貸借契約締結時における注意点を下記にまとめてみました。

1.契約書を必ず交わす
親族間・親友間であっても、必ず書面に残すことが他人に貸す際の大前提と言えます。
契約書面を貰いづらい場合は、税務申告の際にどうしても必要等との理由付けで、なんとか書類に調印してもらうように工夫しましょう。
そもそも、契約書面を交わせないような相手に対しては、大きな資産である建物を貸すべきではありません。

2.保証人を必ず付ける
保証人になる方には、「保証申込証」に職業や収入、家族構成等を記入してもらい、保証人としての適格性について事前に把握するように心がけます。
また、保証申込証及び賃貸借契約書には、保証人の自署及び実印の押印を求め、印鑑証明書や身分証明書のコピーも提出してもらうように要請しましょう。
賃借人が保証人の名前を勝手に使う可能性もありますので、保証人から印鑑証明書や身分証明書のコピーをもらうことで、名義貸しの可能性を極力排除するようにします。

3.原状回復義務・範囲の明確化
賃借人への物件の引渡の際に、両者立会いのもと、損傷や不具合の有無・程度を確認し(必要に応じて写真も撮影するとベターです)、退去時にはどこまでが賃借人の責任かを取りきめておきましょう。もちろん、その内容を書面に残しておくことが大切です。

4.厳格な家賃管理
家賃の入金状況は、常にチェックをしておき、ちょっとでも支払期日に遅れたら、賃借人に催促するようにします。
ちょっとした滞納も許さないような姿勢を見せることで、賃借人にも支払期日を守る意識付けをすることができます。

5.契約更新時にも契約書を交わす
賃貸借開始の際にしか契約書を交わさない方も多いですが、必ず更新時には、書面を交わすように心がけましょう。
そうすることにより、更新時に改めて賃借人や保証人との接点を持つことができるので、相手方の状況の変化をつかむことができる可能性があります。
また、更新時に滞納家賃等があれば、それを契約書の特記事項欄に明記して、債務を承認・認識させることもできます。できれば、契約更新時に滞納家賃の精算と更新料の受領をしたいものです。

6.ペナルティの定め
家賃を滞納した場合の遅延利息や契約違反した場合の違約金の定め、滞納賃料の督促に要する弁護士・司法書士費用や訴訟費用等を賃借人が負担する旨等を契約書に盛り込んでおくことで、精神的な歯止めをかけるとともに、いざという時の費用負担を抑制することが可能になります。

7.解除事由の明確化
月額賃料を何ヶ月滞納したら契約解除事由に当たるか等、賃貸人としてどういう事態が生じたら
契約を解除できるか契約書に明記しておきましょう。

8.賃料減額には応じない
どんな理由にせよ、一旦家賃を減額すると、その後増額するのは非常に困難となります。
あくまで契約上の賃料は変えずに、暫定的な≪支払い猶予≫や期間限定的な≪支払免除≫にすべきでしょう。

9.賃料は口座で管理する
手集金(賃借人から直接賃料を受領して、管理台帳にハンコを押すことで家賃管理をする方式)を行っているオーナーもまだいますが、正確かつ負担の少ない賃料管理のためには、銀行振込による管理をすることも大切です。ただし、手集金で毎月賃借人と顔を合わせることで、信頼関係を維持し、賃借人の状況の変化を察することもできますので、一概に振込管理をすべきとは言えません。

10.定期借家契約も検討
何年後かに自己使用や取壊し等が想定される場合には、契約の更新ができない≪定期借家契約≫にすべきです。
ただし、定期借家契約には、法律的な手順・要件がありますので、不安でしたら専門家にご相談下さい。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

詳しいプロフィールはこちら

-契約書作成・契約書のリーガルチェック
-,

© 2024 家族信託なら宮田総合法務事務所【吉祥寺】無料法律相談を実施中! Powered by AFFINGER5