マンション管理に関する諸問題

自主管理方式を採用する場合の注意点は何ですか?

5月 3, 2016

自主管理方式を採用することで、管理会社への管理委託業務費を削減するなどのメリットがありますが、この方式の採用にあたっては次の点に注意し、充分に議論・検討する必要があります。

1. 役員の人材確保が長期間にわたり見込めるかどうか
自主管理方式を採用した場合、組合の役員にかなりの負担がかかる可能性がありますので、役員の担い手を探すのに難航するケースが目立ちます。
だからといって、特定の組合員が長期にわたって役員を務めることは、様々な問題が生じますので避けるべきです。特に会計事務については特定の人に権限が集中すると、横領・不正経理などの事件を発生させる誘因となりますので、複数の役員が相互に監視できる体制を整備する必要があります。
役員人事は、持ち回りが原則ですから、自ら理事になった時にきちんと業務をこなさなければならないという意識が各組合員で共有できるかどうかは、自主管理方式を長期にわたり継続できるかの重要なポイントになります。

2. 法務、会計、修繕工事、設備の保守点検等について精通した人材が確保できるかどうか
総会運営、会計事務、修繕工事、設備の保守点検等については、基本的に自らの責任で対応する必要がありますので、全く知識がない組合員だけでは、組合運営に支障をきたす可能性があります。
少なくとも、いざという時に相談できる各種専門家とのつながりを確保しておく必要があります。
そもそも自主管理に向いているマンションというのはあります。

大まかに言うと下記のような条件が揃っていると比較的自主管理方式を導入しやすいと言えるでしょう。
1. 小中規模のマンションであること
2. 基本的に住宅専用で、店舗・事務所等がないこと
3. 社宅化・賃貸化が進んでおらず、区分所有者自身が多く居住していること

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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