マンション管理に関する諸問題

町内会費や自治会活動費を管理費等から支払うことは問題ないのでしょうか?

6月 3, 2016

町内会費や自治会活動費をマンションの管理費の中から支出すること自体、法律的にいささか問題があることは事実です。
具体的には、町内会費等は住民の絶対的な義務ではなく任意加入の制度であること、賃貸物件の場合は本来そこに居住している賃借人が負担すべきものであること、等々の観点から管理費として徴収した中から強制的に町内会費等を支出するのは、法的根拠がないという考え方です。

したがって、これまで管理組合の予算から町内会費等を自動的・強制的に支出していたことについて議論をすることは、決して無駄ではないと思います。
その際には、管理規約に町内会費等に関する定めがないかどうか、マンション建設当時に町内会との加入義務等の取り決めがなかったかどうか等を精査する必要があります。

しかし、ここで是非ともご注意頂きたいのは、法的根拠の有無だけで議論をするべきではないということです。
町内会費等の支出は、マンションを含めた地域住民の防犯対策及び災害対策、それから当該マンション以外の近隣住民との良好な関係維持にとって必要な場合があります。
管理組合からの支出をやめ、各戸居住者の任意加入にしてしまうと、町内会費の徴収が困難になり、結果として、地域と連携したコミュニティの育成を十分に果たせなくなるのではないかという危惧があります。

また、金額的な負担も、それほど大きなものではない筈です。
したがって理想を言えば、管理規約を改訂し、管理費の内訳として「町内会費」等と明記した徴収に改め、その上で管理組合から一括で支払う仕組みにすることがよろしいのではないかと考えます。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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