過払い金の返還をめぐって、借り手側がいつまでさかのぼって返還請求できるかが争われた裁判で、最高裁第1小法廷は1月22日、『一連の貸借取引が終了時より10年以内は請求できる』とする借り手側に有利な判断を初めて示しました。
過払い金の返還請求は、10年で時効消滅(一定期間権利を行使しなかったため、その権利が消滅してしまうこと)が成立して請求できなくなってしまいます。
そこで問題となるのが、「10年」の起算点です。
「過払い金が発生するたび」なのか「最終的な取引の終了時点」なのか・・・。
「過払い金が発生するたび」という考え方では、10年以上前の過払い分については消滅時効が完成し、請求できなくなってしまいます。
それに対し、「最終的な取引の終了時点」という考え方であれば、返済が終了した等の取引が終了した時点から10年は過払い金債権を請求することが可能であるということになります。
貸し手側としては「過払金が発生するたび」を主張し、少しでも時効消滅させて過払い金額を減額しようとしていました。
これまでは下級裁判所における司法判断も分かれていましたが、今回の最高裁判決において、借り入れや返済を繰り返す貸借契約において、過払い金が発生するたびに借り主が返還請求をすることは想定されず、その都度過払い金返還請求権を行使しないことから時効も進まないとして、「最終的な取引の終了時点」より10年経過していない限り、過払い金は請求可能であるとの初判断が示されました。
この最高裁判決は、長期間返済をしてきた借り手側にとって待ちに待ったものであり、今後、過払い金返還をめぐる訴訟では、最高裁判決に沿う借り手側有利な判決が期待できることからも、多重債務者救済の大きな後押しになるでしょう!