家族信託・福祉型信託は、原則として信託業法の適用を受けません。
信託業法の適用を受けるのは、その内容が「信託の引受けを行う営業」に該当する場合です。
つまり、『受託者が不特定多数を相手に反復・継続して信託の引受け(信託の受託)を行い、その報酬を得ようとする場合』には、信託業法の適用を受け、その受託者には免許又は登録が必要となります。
信託業法に触れる可能性のある具体的な業種は、弁護士・税理士・司法書士・行政書士等の士業や株式会社・NPO・社会福祉法人等です。
これらの個人・法人が、免許又は登録なく受託者として信託報酬を得る場合は、信託業法に抵触することになります。
一方、不特定多数を相手に反復継続して財産を預かる可能性のない一般の方には、信託業法の規制は及びません。
つまり特定の委託者のために親族等が受託者となり財産を預かるケースでは、「営業」に該当しないので、受託者が委託者との合意の上で信託報酬を得ることも可能です(成年後見制度における任意後見人が任意後見契約に定める報酬を受け取るようなイメージ)。
この信託業法の適用を受けない「民事信託」の仕組みこそが、誰にでも始められる新しい財産管理・資産承継の仕組みなのです。