『遺言信託』は、端的に言いますと『遺言の中で信託の仕組みを設定するもの』と言えます。
つまり、あくまで遺言書ですので、ご本人が死亡するまでは効力が生じず、また何度でも書き換えられるのは遺言の原則です。
ご本人の死亡により遺言の効力が生じ、これを機に信託の仕組みがスタートする(信託が発動する)ということになります。
イメージは、単に財産を残すのではなく、『財産管理をする仕組み』まで含めて後世に残すイメージです。
一方の『遺言代用信託』は、あくまで『信託契約』による財産管理となります。
ご本人の生前から信託契約を発動させて、財産管理を行うと共に、ご本人が亡くなった後も、次の受益者を指定して、信託による財産管理を継続するものです。
信託契約に『遺言』の機能も持たせたもの、つまり『遺言』の代わり(代用)になる信託という意味で『遺言代用信託』と言います。
実務上の使い分けとして簡潔にご説明しますと、単に遺言の中で“財産”を残すだけでなく、“財産+財産管理の仕組み”を遺すための活用するのが『遺言信託』です。
その『遺言信託』の機能に加え、生前の財産管理の機能も利用したい方は、『遺言代用信託』、つまり生前から信託契約で受託者に財産管理をお願いすることになります。
超高齢化社会においては、本人の判断能力がもし万が一低下しても、成年後見制度を使わなくても柔軟な財産管理を実行できるということで、信託契約のご相談が爆発的に増えております。