遺産相続手続・遺産整理・遺言執行

死因贈与契約の交わし方

9月 7, 2007

死因贈与契約の交わし方死因贈与とは、贈与者が生前に「私が死んだら、この財産をあげますね」ともらう人との約束(=契約)をしておき、贈与者の死亡によってこの契約の効力が発生するものです。

同様のことは、遺言によってもすることができますが、遺言が、遺言者の単独行為であることに対して、死因贈与は、贈与の一種で、二当事者間の契約です。

つまり、死因贈与では、贈与者が「あげます」というだけでなく、受贈者が「もらいます」という意思表示をすることが必要です。
また、贈与者の死亡によって効力を生じる点で、遺贈と類似し、民法では、死因贈与は遺贈に関する規定に従うとされています(税法上も贈与税ではなく相続税の対象です)。
死因贈与は契約ですので、贈与者と受贈者との間で話し合いがまとまれば契約ができるのですが、口約束だけですと、契約の意思を明確にすることや第三者に対して契約が成立していたことを証明することは困難ですので、契約書を作成して証拠を残すべきです。
死因贈与の場合、贈与者の死亡と同時に契約が発効しますので、贈与者の相続人の知らないうちに相続財産が減少しているということも多く、受贈者と贈与者の相続人との間でトラブルが生じやすいです。
死因贈与契約の有効無効などの争いを予防するためにも、契約を公正証書にしておくことを強くお勧めします。

また、そのような快く思わない相続人からの協力を得ることなく死因贈与契約内容の実現を図るために、死因贈与契約の内容を実現すべき執行者の指定ができます(考え方としては遺言執行者と同様です)。
死因贈与契約の交わし方執行者の指定がない場合は、その手続きにおいて、原則、贈与者の相続人全員の協力が必要になりますが、執行者の指定があれば、執行者と受贈者で手続きを進めることが可能になります。

さらに、受贈者が執行者を兼ねることもできますので、そうすれば、受贈者単独で死因贈与による所有権移転登記手続きが可能になります。
ただし、契約書が公正証書ではなく私文書(ワード等で作成して契約当時者が署名捺印した文書)の場合、死因贈与に基づく不動産の所有権移転登記手続きをする際に、執行者の印鑑証明書だけでなく、贈与者が契約書に捺印した実印についての印鑑証明書又は贈与者の相続人全員の承諾書(印鑑証明書付)を提出しなければならないという問題が生じます。

つまり、死因贈与契約の内容を速やかに実現させるには、死因贈与契約を公正証書にした上で、その中に執行者の指定の条項を入れておくことが最善の策といえます。
尚、贈与するものが不動産の場合には、生前に予め「始期付所有権移転仮登記(始期 〇〇の死亡)」をすることができます。
これにより、契約後に贈与者の気が変わって、受贈者に内緒で当該不動産を売却したり、相続開始後その相続人が勝手に相続登記を入れてしまうのを予防することができます。

公正証書の中で「贈与者は、贈与物件について受贈者のため始期付所有権移転の仮登記をなすものとし、贈与者は受贈者がこの仮登記手続きを申請することを承諾した。」という文言を記載しておけば、公正証書の正本又は謄本を持って受贈者がこの仮登記を単独申請することができます。
この点においても、死因贈与を確実に実現するために公正証書が非常に有効であるといえます。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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