遺産相続手続・遺産整理・遺言執行

相続における「特別受益」とは? その範囲や持ち戻し免除についても解説

7月 6, 2008

被相続人の生前に、特別に財産をもらうことを「特別受益」と言い、その財産を受けた人の事を「特別受益者」と言います。
特別受益を相続財産に戻すことを「特別受益の持ち戻し」といいます。
相続開始前に被相続人から贈与を受けた人も、平等に相続財産を受け取れるとなると、相続人の間に不公平がおきます。
そこで、生前に受けた財産の合計を相続財産に加え、合算した相続財産を配分し、生前に財産を受けた人の相続分から加えた額を差し引いたものがその人の相続分となります。

【事例】

Aには配偶者Bと、C、Dの2人の子がいたとします。CはAから500万円の贈与を受けていました。Aが死亡して調査の結果3000万円の相続財産があった場合、Cが生前にもらっていた500万円をそれに加えた3500万円が相続財産となり、これに基づき遺産分割を行います。法定相続で分割すると

配偶者B・・・1750万円
子C・・・ 875万円
子D・・・ 875万円

となりますが、Cはそこから生前にもらった分を差し引きますので、375万円となります。もし、ゼロ又はマイナスになった場合、遺産分割における相続分がなくなるだけで、他の相続人に返還する必要はありません。但し、他の相続人の遺留分を侵害している場合は遺留分侵害額を請求される可能性はあります。

【特別受益の範囲】

●遺贈  全てが対象になります。

●生前贈与
・ 婚姻や養子縁組のための贈与
・ 持参金、結納金、支度金(挙式や披露宴の費用は通常は該当しません)
・ 生計の資本のための贈与
・ 住宅資金や事業資金などの贈与
現金や養育費、留学費用などは、被相続人の生活状況を考慮して扶養の範囲内とされるものは該当しません。

●生命保険金と死亡退職金
生命保険金や死亡退職金については現在においても争いがあります。個々の事案に応じて特別受益にあたるか否かの判断が分かれています。生命保険金に関しては余程のことがない限り特別受益にはあたらないと判断される可能性が高いと思います。

【持ち戻し免除の意思表示】 

遺産分割の際に、相続財産に特別受益である生前贈与を加えたものを相続財産とみなし(みなし相続財産)、これを基礎として各相続人の相続分(一応の相続分)を算出し、特別受益を受けた者については、この一応の相続分から特別受益分を控除し、その残額をもってその特別受益者が現実にうける相続分とします。
このような、特別受益を相続分算定の基礎に参入する計算上の扱いを「持ち戻し」といいます。
特別受益は持ち戻しの対象となるのですが、被相続人が持ち戻し免除の意思表示を行ったときは、その特別受益は持ち戻しの対象からはずれます。ただし、遺留分を侵害している場合は遺留分侵害額請求の対象にはなります。
持ち戻し免除の意思表示に特に決まった方式があるわけではなく、遺言によってすることもできますし、黙示の意思表示が認められる場合もあります。
つまり、相続対策・争族対策として一部の相続人に生前贈与をしているような方は、きちんと遺言書を作成することで、実質的に持ち戻しの免除の意思表示をしておくことが重要です。

【特別受益者の範囲】

特別受益者とは、特別受益を受けた「共同相続人」です。相続人以外の第三者は含まれません。

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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