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家族信託の委託者の地位の相続・譲渡

6月 5, 2010

民事信託の信託期間の設定【委託者の地位の相続】

委託者が死亡した場合、民事信託・家族信託における委託者の地位の相続は、遺言信託とその他の信託(契約信託)では取り扱いが異なります。

遺言信託の場合、別段の定めがない限り、「委託者の相続人は、委託者の地位を相続により継承しない」とされています(信託法第147条)。

これは、遺言信託における「受益者」と遺言者(委託者)の「相続人」が必ずしも同一でないので、受益者と委託者の地位を相続した受益者以外の相続人との複雑な法律問題、争族問題を生じさせる恐れを回避する意図があります。

 

一方、この信託法第147条のは反対解釈として、契約に基づく信託における委託者の地位は、別段の定めがない限り、相続により承継するということになります。
ただ、契約に基づく信託においても、前述の通り、第二受益者として経済的利益を得ている相続人だけでなく、受益者にならずに何ら利益を得ていない相続人にも委託者に地位を相続させることは、争族を巻き起こすリスクがあります。

従いまして、世の中に出回っている家族信託の契約書式例には、「委託者の地位は相続により承継せず、委託者の死亡により消滅する。」旨の条項が散見されます
しかしこの条項は、族信託の実務においては、実はあまり好ましくありません

では、どのような条項が良いかというと、委託者の地位は、受益者と共に移転する旨の条項を置くことが現段階でのベター・ベストな定めと言えます。

その理由は、長くなるのでここでは割愛しますが、不動産登記における登録免許税課税の関係で委託者の地位も受益者の地位と常に連動して移動させておかなければ、課税上不利になりかねないという実務的なポイントがあるからです(登録免許税法第7条第2項)。

    ※ 関連記事:『家族信託における「委託者の地位の承継」と登録免許税

 

【委託者の地位の譲渡】

委託者の地位は、委託者の生存中に自らの意思で、「受託者及び受益者の同意を得て、又は信託行為に定めた方法に従い、 第三者に移転することができる」となっています(信託法第146条)。

ただし、実務的には、委託者の地位の譲渡が問題になるのは、受益権売買の時くらいで、受益権売買の際には、受益権の売買(受益者の地位の譲渡)に加え、委託者の地位も譲渡することで、従来の委託者兼受益者が完全に信託の当事者関係から離脱してシンプルな法律関係になるようにします。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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