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家族信託・民事信託に関する誤解の数々

9月 29, 2014

家族信託・民事信託について、いくつかの論点について大きな誤解をしている方もいるので、ここで改めて誤解を解消したいです。
家族信託・民事信託についてセミナー講師として講演されている方や家族信託に関する書籍を執筆されている方の中にも勘違いしている方がいるようなので、注意が必要です。

 

1.家族信託・民事信託の仕組みは2007年の信託法の改正で初めてできるようになったという誤解

大正時代にできた信託法ですが、2007年の改正前の旧信託法でも、受託者が信託銀行等のプロでない家族信託・民事信託は可能でした。
法体系として、あまり家族信託・民事信託を想定していなかっただけで、旧法の下でも家族信託・民事信託の設定をしていたケースはあります。
あくまで、2007年の新信託法で明文化されて家族信託・民事信託が活用しやすくなったというのが真実です。

 

2.家族信託・民事信託の受託者は本人に代わって暦年贈与が自由にできるという誤解

受託者は、委託者たる老親から託された財産を受益者(通常は委託者=受益者=老親)のために管理し、財産給付をすることになります。
受益者ではない者(受益者の扶養家族を除く)に対して、受託者が財産給付をすれば、それは「忠実義務違反」になります。
従いまして、家族信託・民事信託を実行後にも暦年贈与をしたい場合は、受託者から受益者に一旦財産を戻し、受益者自らが通常の贈与契約をすべきということになります。

【関連記事】
家族信託契約後に贈与を実行できますか?

 

3.家族信託・民事信託の受託者は無報酬でないとダメという誤解

受託者は、信託業法の免許を持たないと「信託報酬」をもらえないと思っている方がいます。
“不特定多数の方に対して反復継続して信託の引き受けをする(受託者となる)個人・法人”は、
信託業の免許を持たないと信託業法に抵触することになりますが、そもそも家族が受託者となる家族信託の場合、
家族・親族以外の不特定多数の方が素人に財産を預けることはしませんので、信託業法の規制の範疇外です。
つまり、当事者契約自由の原則に従い、自由に信託報酬を設定することが可能です。

なお、司法書士、弁護士、税理士、行政書士等の士業や不動産会社等が受託者になる場合、
不特定多数の方に対して反復継続して信託の引き受けをする可能性が高いので、信託業法違反の疑いが出てきます。

 

4.信託財産に担保設定はできないという誤解

受託者が預かった信託財産を信託の目的に従い管理処分する過程で、受託者が受益者のために借り入れをしたり、
借り入れに伴い担保設定することは可能です。
例えば、相続税対策を含めた事業プランの中で、土地の開発行為(宅地造成)やアパートの建替え、不動産の買い換えなどについては、
信託金融資産では賄えない場合、金融機関から融資を受けて事業を行うことがあります。
この場合、受託者が金融機関に対して融資の申し込みをし、金銭消費貸借契約や抵当権(根抵当権)設定契約を締結することになります。
つまり、信託業務に関する借り入れや担保設定であれば、受託者の責任と権限において可能となります。
もちろん、受託者の管理処分権限の根拠となる信託契約書に借り入れや信託財産への担保設定ができる旨を規定しておかなければならないですが。
なお、受託者の個人的な債務の担保として信託財産を担保提供することは、受益者と受託者との利益相反行為であり、
忠実義務・善管注意義務違反ということになりますので、好ましくないのは言うまでもありません。

 

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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