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遺産相続手続・遺産整理・遺言執行

特別寄与料とは? 特別寄与制度の仕組みと税務について分かりやすく解説【2021年版】

2月 1, 2021

令和1年7月1日に民法が改正され、法定相続人以外の者が被相続人に対して貢献した場合に、これを遺産の分配において考慮するための新しい制度が設けられました。法的根拠と条文としては、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30.7.13法律第72号)」により、改正民法第1050条が新設されました。

 

1.特別寄与料とは?

今回の民法改正前までは、相続人以外の者は、被相続人の介護等の労務提供に努め、被相続人に対する貢献をしても、基本的に相続財産について何らかの分配請求をすることはできませんでした(法定相続人が誰もいないケースにおいて、相続人以外の者が相続人不存在における特別縁故者制度により財産分与を求める場合を除く。)。
そこで、法定相続人でなくとも被相続人の療養看護をし、その財産の維持・増加に寄与した者については、その貢献が報われることが実質的公平に適うという観点から、相続人に対して寄与に応じた額の金銭の支払請求ができる制度が設けられました。
この新制度を「特別寄与制度」といい、この支払いを請求する権利がある者を「特別寄与者」、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭のことを「特別寄与料」といいます。

 

2.誰が請求できるか?(請求権者の範囲)

特別の寄与について金銭請求できるのは、「被相続人の親族」とされています。
「親族」とは、六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族をいいますので、同性カップルや事実婚(内縁)のパートナーは、新制度の請求権者には含まれていません。
なお、「被相続人の親族」であるかどうかの判断基準時は、相続開始時と解されています。
従いまして、被相続人の療養看護をしてきたが、被相続人の死亡までに離婚した場合には、この労務提供者は特別寄与料の請求権者には該当しないことになります。

 

3.請求できる要件

(1)無償の労務提供に限定

被相続人への貢献である「療養看護その他の労務の提供」は「無償」であることが必要です。
そのため、労務の提供に対して対価を得ている場合には、特別寄与料支払請求をすることはできません。
無償かどうかの判断は、労務提供者が被相続人から対価を得たと評価できるかどうかにより判断され、労務提供の対価として認められるには、その財産給付が労務の提供の内容に応じて決められていることが必要です。

・例えば、相続人(←被相続人ではなく)から労務提供者に対して金銭の支払いがあった場合でも、その給付が被相続人の意思に基づくものでなければ、相続人から金銭の支払いを受けたことをもって「無償」でなくなるものではないと解されます。

・例えば、労務提供者が被相続人の療養看護をするより以前から被相続人と同居生活をしており、生活費を被相続人が負担していた事情がある場合、現に療養看護が始まった以後も被相続人が生活費を負担していたとしても、生活費の負担をしてもらっているということのみをもって「無償」でなくなるものではないと解されます。

(2)被相続人の財産の維持や増加について特別の寄与が必要

労務提供者の行為によって、その行為がなかったとすれば被相続人の財産の減少や債務の増加が阻止され(「財産の維持」)、又は、その行為がなかったとすれば生じなかったはずの被相続人の財産の増加や債務の減少(「財産の増加」)があったことが必要です。

(3)権利行使期間について

特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができますが、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6箇月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、そのような請求はできません。
いずれの権利行使期間も除斥期間であると解されています。

なお、新法の施行日(令和1年7月1日)以後に発生した相続については、特別の寄与が施行日前でも、寄与料の支払い請求をすることができます(経過措置)。

 

4.請求方法

特別寄与者に認められている権利は、金銭の支払請求権です。
そのため、特別寄与者は遺産分割協議に参加する必要はなく、また、参加することもできませんし、特別寄与者による金銭支払請求がされたとしても、既に成立した遺産分割協議の効果に影響は生じません。

 

5.特別寄与料の額

(1)算定方法について

第一次的には、当事者間の協議によります。
協議が調わないとき又は協議をすることが出来ない場合には、特別寄与者は家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができます。
その場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定めることになります。
一切の事情には、特別寄与者が生前に受けた利益や、相続債務の額、遺言の内容、各相続人の遺留分等が考えられます。

(2)請求額の上限について

特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができません。
例えば、被相続人が相続財産の全てを遺贈している場合には、特別寄与料はないことになります。

(3)誰に請求するか

相続人が複数いる場合、特別寄与者は、その選択に従い、相続人の1人又は数人に対して特別寄与料の支払いを請求することができるとされており、必ずしも共同相続人全員に対して請求をしなければならないわけではありません。
ただし、相続人の1人に対して請求できる額は、特別寄与料の額にその相続人の法定相続分(又は指定相続分)を乗じた額に限られており、相続人の1人に対して特別寄与料の全額を請求することはできません。

 

6.特別寄与料の税務的取扱い

(1)特別寄与者に対する課税

特別寄与者が相続人等から支払ってもらう特別寄与料の金額が決まった場合、その特別寄与料の金額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして、特別寄与者に対して相続税が課税されます(相続税法第4条第2項)。しかも、特別寄与者は法定相続人でないため、原則として相続税の2割加算の対象(※)になることに注意が必要です。

※ 「相続税の2割加算」とは、被相続人の配偶者及び1親等の血族以外の人が相続した場合、その人に対して発生する相続税の額に2割加算した税額を納付しなければならないという制度。

(2)特別寄与料を支払った相続人に対する税務

特別寄与者に特別寄与料を支払った相続人は、その特別寄与料相当額が相続税の申告時において債務控除の対象になります(相続税法第13条第4項)。

 

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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