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家1000万戸が余る時代の空き家対策

2022年9月4日付日本経済新聞の一面記事によると、来年、住宅総数が世帯数に対し約1000万戸も余る時代が到来する、という。

すでに約849万戸ある(2018年のデータ)と言われる「空き家」の問題が一段と深刻化する危機に直面していると言える。
住宅総数に占める割合は13.6%に達し、およそ7戸に1戸が空き家という水準にまで達しているそうだ。

これまでの日本は、人口が減っても長寿化や生涯未婚率の上昇から一人暮らしが広がり、世帯数だけは増えてきたが、それももはや2023年の5419万世帯をピークに、減少が始まるとの見方がある。

それに伴い2023年を境に空き家も急増すると見込まれており、2038年に空き家は約2303万戸に達する可能性が指摘されている。
日本は、戦後から深刻な住宅不足に悩まされていた背景から、政策として立法措置まで講じて住宅新築を推進してきた。その結果、新築中心の住宅産業が形成され、中古住宅の流通市場は育たなかった。

 

これからの人口減時代の家余りにどう対応すればいいのか

日経新聞の記事では、二つの政策がカギとなる旨を指摘する。

一つは、中古住宅の有効活用
欧米にならい、中古住宅市場を育成し、耐用年数が過ぎていない住宅を解体することなく、そのまま中古住宅市場で換価しやすい環境を作ることだ。

また、地方自治体による「空き家バンク」の活用など、地方移住者の定住支援と絡めた情報ネットワークの構築やそれを取り扱う不動産業者やコンサル会社との連携がもっとできるはずだ。
その一方で、75歳以上の後期高齢者の一人暮らしの住宅確保は、大きな社会問題となっているので、主のいない中古住宅に高齢者が安心して移住できるような社会的基盤づくりが求められる。

二つ目は、空き家を解体しやすい環境を作ること。
老親が施設入所して実家が空き家になっているケースや、老親が亡くなり主を失った実家を引き継ぐ子もないケースは後を絶たない。
空き家を解体して更地にすると、原則固定資産税が高くなるので、このことが積極的に空き家を解体することの大きな障害となっているのは事実。

政策として助成金の交付や固定資産税の減額など、空き家を放置するよりも積極的に古家を解体する方が経済的にもリスク的にも軽減されるような動機付けがあるといい。
その上で、空き地(更地)をどのように有効活用していくのか、各地方の状況に応じたアイディアが求められる。

 

各個人・各家庭は何をして備えるべきか

さらに小生の業務に絡めて、各個人・各家庭がとるべき対策は何かと考えると、やはり「家族信託」と言うことができる。

老親が存命中に、老親の健康状態・認知機能悪化に影響を受けずに空き家となった実家をいつでも(売りたい時や買い手が現れた時に)スムーズに売却できることは、老親の介護費用捻出の観点からも、また空き家の管理コスト(固定資産税や庭木の伐採・除草費用など)の永続的発生、空き家放置リスクを回避する観点からも、この上ない安心材料になる。

また、相続発生後においても、遺産分割協議の余地を排除し、管理を担う「受託者」が単独で空き家を解体したり、売却したりできることもまた、争族対策であり、不動産の塩漬けリスクの回避につながる良策となる。

1000万戸の家余り時代の空き家対策は、国の政策と各個人の自衛手段との合わせ技で乗り切ることが必要だと考える。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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