ご高齢の不動産所有者の中には、老後資金の確保・捻出のため、あるいは老い支度・保有資産整理の一環として、さらには積極的な資産運用・資産の組換えのため、自宅や賃貸物件、遊休不動産などを売却したいという方は多いです。
そこで今回は、不動産を売却する際の注意点、特に、不動産を売る前にやってはいけないことについて簡潔にご紹介します。

不動産を売る際にやってはいけないこと
(1)不動産の一括査定サイトの利用
昨今よく目にする「不動産一括査定サイト」で売却想定価格(時価)の無料見積を依頼する方も多いようです。
ただ、不動産仲介業者に対する見積依頼は、現実的にみて3社程度に依頼すれば十分に相場観はつかめますので、10社以上の不動産会社の見積を貰う必要性は低いと言えます。
しかも、その10数社の中には、大手ではない会社が含まれていて、専任媒介契約を取りたいがために他社よりも敢えて高めに査定額を提示する会社もあるようです。
さらに、一括査定サイトに依頼した方が最も不満に感じるのは、10数社から営業メールや営業電話が来て、煩わしいことになるという点です。
相場観を把握することを第一目的(一番のメリット)とし、さらには、信頼できる不動産会社・相談しやすい営業担当者であれば、そのまま売却活動を依頼することもできるというのが第二の目的(二番目のメリット)だとすれば、前述の通り、大手不動産仲介業者3社の信頼できる担当者に無料査定を依頼すれば十分と言えるでしょう。
ちなみに弊所では、司法書士事務所という仕事柄、大手不動産会社10社程度の信頼できる担当者とのご縁がありますので、弊所がその中から3社程度をセレクトし無料見積を依頼することも多いです。
弊所を介して査定書を依頼するメリットは、査定を依頼した弊所を飛び越えて直接不動産会社から売主側の個人に営業メールや営業電話をすることが無いので、煩わしい思いをすることは一切ないことです。査定書の内容や売却の仕方、スケジュール感等について、詳しく話を聞きたい場合は、直接売主側から連絡することはもちろん可能なので、その点も安心と言えるでしょう。
(2)最高の査定額を提示した不動産会社に仲介を依頼すること
複数の不動産業者から具体的な話を聞くことなく、高額な査定額を提示した不動産仲介業者に機械的に売却の仲介を依頼することは避けるべきです。
いくら高額な査定額を出したとしても、実際に売却活動を始めて買い手が付かなければ、売出価格を下げざるを得なくなりますので、最も高い査定額を提示した不動産会社に依頼したからと言って、最高値で売れる保証はどこにもありません。
不動産会社の査定額を鵜呑みにすることは大変危険です。
各社が提示した査定額の根拠、その不動産業者が考える現実的な売却想定価格(時価)について、きちんと話を聞いてみることをお勧めします。
大事なことは、売出価格を高く設定することではなく、不動産仲介のプロの視点から現実的にスムーズに売却できる売出価格の提案をしてくれる担当者、売主側のスケジュール感などの要望・相談に親身にのってくれる担当者を見付けられるかどうかです。
(3)相場観を把握しないまま売出価格を設定すること
これまでのお話と関連しますが、売却活動を始めるに際して、まずすべきことは相場観(売却想定価格)の把握です。
これを把握しないで不動産仲介業者に売却依頼をしようとすると、仲介業者の言うがままの売出価格の設定を許すことになりますので、あまりお勧めできません。
複数の不動産仲介業者の査定額の考え方を聞いて、ご自分なりの相場観を認識した上で、売出価格を設定するようにしましょう。
(4)一般媒介契約で売却を依頼すること
不動産仲介業者に売却活動(売却の仲介)を依頼する場合、「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3つの形態があります。
3つの契約形態の簡単な説明は下記のとおりです。
- 一般媒介契約:複数の不動産会社に同時に仲介を依頼できる媒介契約です。売主自身が購入希望者を見つけて売買契約を結ぶことも可能なので、制限が少なく、比較的自由に売却活動ができます。
- 専任媒介契約:売買の仲介を1つの不動産会社にのみ依頼する媒介契約です。売主が複数の不動産会社に同時に仲介を依頼することはできませんが、売主自身が購入希望者を見つけた場合は、依頼した不動産会社を介さずに売買契約を結ぶことはできます。
- 専属専任媒介契約:専任媒介契約と同様に、売却の仲介を1つの不動産会社にのみ依頼する媒介契約です。基本的な内容は専任媒介契約と同じですが、より売主側への業務報告の義務等を厳しくした形態と言えます。
一般媒介契約の方が、買主を見付ける選択肢が多いので、一見早期に買主を見付けられる可能性が高そうです。
しかし実際は、営業担当者が一生懸命買主を探してきても、売買契約の直前に別の不動産仲介業者が別の買主を見付けて制約されてしまうリスクがありますので、営業担当者としても本腰を入れて売却活動をしにくいというのが実際のところでしょう。
一方の専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合、独占的に売却活動を遂行できますので、自社以外の不動産仲介業者に仲介案件を横取りされる心配がありません。
その分、3か月間は一般媒介契約よりも売却活動に本腰を入れてくれるのではないかと考えます。
以上、今回は、不動産を売却する際の注意点、特に、不動産を売る前にやってはいけないことについてご紹介しました。


