遺産相続手続・遺産整理・遺言執行

遺留分の放棄

7月 6, 2008

遺留分は、被相続人の生前(相続開始前)に、家庭裁判所の許可を受けることを条件に放棄することができます。
「既に多額の生前贈与を受けている」「生活に困っていないので相続する必要が無い」などの事情がある場合、この手続きにより放棄することができますが、放棄の真意を確認する意味で家庭裁判所の許可を条件としています。
つまり、推定相続人から直筆で遺留分を放棄する旨の書面(放棄書や誓約書、覚書等)をもらっていたとしても、法律的に有効な遺留分放棄にはなりませんので、後のトラブル予防を考えた場合には、きちんと家庭裁判所での手続きを行ってください。
なお、共同相続人の1人がした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼしません(例、遺留分を主張できるA、Bのうち、Aが遺留分を放棄したとしても、Bの遺留分がそれに応じて増加することはありません)
また、遺留分を放棄しても相続放棄したことにはなりませんので、遺産分割協議には参加する必要があります。

 

【遺留分放棄申立て手続き】
●申立人     遺留分を有する相続人
●申立ての時期 相続開始前
●管轄       被相続人の住所地の家庭裁判所
●手数料等    収入印紙800円と郵便切手(裁判所によって異なります)
●必要書類    申立人・被相続人の戸籍謄本、財産目録

裁判所において、放棄意思の真意性・撤回の可能性、生前贈与などの有無、その他放棄
の動機の合理性、申立人と被相続人との親疎・扶養関係などについて調査が行われ、審
判が下されます。
審判により認容・却下のいずれの判断に対しても、不服申立ては出来ません。
容認の審判が下りる基準は以下の通りです。
1.  放棄が本人の自由意思にもとづくものであるかどうか
2. 放棄の理由に合理性と必要性があるかどうか
3. 代償性があるかどうか(たとえば放棄と引きかえに現金をもらうなど)

 
 【遺留分放棄の許可審判の効果】
当該相続人は、相続財産に対する遺留分を主張できなくなりますが、相続が開始すれば相続人となります。被相続人が遺言をしないまま死亡した場合には、遺留分を放棄した相続人も相続権を失うことなく、遺産分割協議の当事者になります。
一切の相続を放棄したい場合は、被相続人の死後に相続放棄の申述(申立て)をしなければなりません。

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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