成年後見(法定後見・任意後見)、高齢者等の財産管理

リバースモーゲージの歴史

5月 24, 2010

日本では、1981年に東京都武蔵野市で導入された公的プランが最初です。その後、自治体や民間金融機関などが後に続きましたが、バブル期に担保割れするケースが多く発生したため、新規販売が停止されたり、条件が厳しくなったりと、制度自体の普及が進みませんでした。

しかし、公的年金をはじめとする社会保障制度への依存の緩和を図る目的や高齢者世代の消費活性化、不動産の流動化による経済効果等様々な社会的・経済的要請から、再びその普及が求められるようになりました。

そして、2002年度に厚生労働省が全国規模でリバースモーゲージ導入を発表し、2003年度以降、厚生労働省が貸付原資の3分の2を補助する形で、全国都道府県が「長期生活支援資金貸付(リバースモーゲージ)制度」(※)を導入することになりました。これにより、都道府県社会福祉協議会を実施主体とした公的プランの普及が徐々に進んでいます。

現在、自治体が行っている公的プランとしては、世田谷シルバー資金融資制度(東京都世田谷区)、福祉資金貸付事業(東京都武蔵野市)、ふれあい福祉資金あっせん融資事業(兵庫県伊丹市)、高齢者くらしの充実資金貸付(兵庫県神戸市)などがあります。

一方、民間プランも、金融機関や大手住宅会社主導で、次第に多種のリバースモーゲージが取り扱われるようになっています。

金融機関によるものとしては、東京スター銀行の新型リバースモーゲージ「充実人生」、中央三井信託銀行のリバースモーゲージ(住宅担保型老後資金ローン)等があるようです 。

※「長期生活支援資金貸付(リバースモーゲージ)制度」
この制度の目的は、貸付要件としての対象世帯を市民税非課税程度または均等割程度の低所得世帯としており、生活保護・福祉的色彩が強いのが特徴です。
この制度の対象者や諸要件は、概ね下記のとおりです(詳細は、申込窓口となる各市町村社
会福祉協議会にお問合せ下さい)。

・世帯の構成員が原則65歳以上であること
・借入世帯が市町村民税非課税か均等割課税の低所得世帯であること
・当該不動産に居住しており、将来にわたりその住居に住み続けることを希望しているこ と
リバースモーゲージの歴史・担保不動産が申込人の単独所有若しくは配偶者と共有であること
・配偶者または親以外の同居人がいないこと
・共有の場合、配偶者が連帯債務者となることを了承していること
・担保不動産に賃借権、抵当権等が設定されていないこと
・推定相続人全員の同意があること
・担保となる不動産の概算評価額が最低1,500万円以上あること
・貸付限度額は、居住用不動産のうち土地の評価額の概ね7割程度
・貸付利率は、年3%または銀行長期最優遇貸出金利のいずれか低い利率
・月額の貸付額は、1か月あたり30万円以内で個別に設定する
・貸付期間は、貸付元利金(貸付金+利子)が貸付限度額に達するまでの期間

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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