商業登記・企業法務

役員の責任限定

4月 30, 2010

取締役や監査役は、会社に対して善良な管理者の注意義務を負担しており、法令や定款に違反して会社に損害を与えた場合は、損害賠償義務が発生します。
そして、株主は株主代表訴訟制度により会社を代表して役員に対し賠償請求を行うことができます。
しかし、難しい政策的判断をする場合や、過失の程度は小さいが結果的に莫大な損害が発生したような場合に、役員らが巨額の賠償請求を受けかねないとなると、経営者が萎縮して適正な経営判断ができないとの問題がありました。
そこで、次のような場合において賠償責任額を制限できます。
◆総株主の同意がある場合、原則として会社に対する損害賠償責任は免除されます。
◆役員が善意で重過失がない場合は、下記各号の決議をすることにより、代表取締役においては年棒の6年分、取締役は4年分、監査役は2年分を賠償責任額の限度とできます。
1)株主総会の特別決議
2)定款の定め+取締役会決議
◆社外取締役、社外監査役、会計参与、会計監査人においては、職務を行うにつき、善意で重過失がない場合は、定款に定めた額の範囲内であらかじめ定めた額と、報酬等の2年分のどちらか高い方を限度として、賠償責任を負う旨を、あらかじめ契約(責任限定契約)で定めることができます。

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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