管理組合が法人化しても、通常の組合運営においてはそれ程大きな違いはありませんが、法人格を取得することにより、管理組合の組織としての性格がはっきりするため、訴訟、契約、取引等で、組織的対応が可能となるといえます。
なお、法人格を取得したからといって、法人等の課税を受ける訳ではなりませんので、税金面でデメリットを受けることもありません。
以下に法人化の代表的なメリットを挙げてみます。
1. 管理組合法人自体に独立の法人格が認められ、権利義務の主体になることができます。 つまり、管理組合法人が自己の名において、管理、契約等を行い、権利・義務を遂行することにより、社会的信用が向上し、業者、銀行等との取引に信頼性が増し、工事、資金調達が円滑になると考えられます。
ただしその反面、法人としてよりしっかりとした運営・管理体制を構築する必要が出てくるでしょう。
2. 法人としての登記が可能になり、管理組合財産の権利が明確になるとともに、理事長の個人的財産との区分が明瞭になり、理事長の負担軽減も望めます。
3. 従来は理事長が区分所有者全員の代理人的地位に立ち訴訟を行う必要がありましたが、法人化することで、管理組合法人自体が区分所有者全員の代理人的地位に立ち訴訟の当事者となります。このため、理事長の精神的負担は軽減されるでしょう。
その他、明確なメリットということではないかもしれせんが、法人化することにより管理組合の運営・管理体制の強化ができ、組合自体の評価・ステイタスが向上すると考えられます。また、組合員の組合運営に対する意識・関心が高まることで、組合運営が円滑になり、合意形成も得やすくなることも考えられるでしょう。