離婚協議・財産分与・養育費

財産分与とは?対象となる財産や一般的な割合、取り決めのタイミングは?

11月 10, 2015

財産分与とは?

夫婦が婚姻期間中に築いた財産は、たとえ妻が専業主婦だったとしても夫婦の共有財産とみなされます。
したがいまして、離婚に伴い、これまで築いた夫婦の共有財産を二人で公平に分配・精算する必要があります。

これが「財産分与」といわれるもので、必ずしも夫から妻に財産分与されるとは限りませんが、外で働いて稼いだ夫の財産を家事に従事していた妻の家庭への貢献度を考慮して財産を分けるのが一般的です。
また、財産分与には、離婚後の特に女性の生活の保障の意味も含めて多めに財産分与するケースもあります(これを“扶養的財産分与”といいます)。

 

財産分与の対象となる財産とは何ですか?

財産分与は、不動産や動産、有価証券、預貯金など、結婚してから築いた財産は、原則として全て対象となります。
どちらの名義になっているかは無関係です。
なお、婚姻前から持っていた財産や婚姻後に夫婦の一方が相続・贈与により取得するに至った財産は固有の財産とみなされますので、財産分与の対象から外されます。

※「婚姻期間中の財産」について

婚姻期間中の財産は、一般的に以下の3つに分類されていますが、財産分与の対象となる財産は、下記の(A)及び(B)となります。
(C)は、財産分与の対象から原則として外れますが、配偶者が特有財産の増加に貢献しているような場合には、財産分与の際にこの寄与度を考慮できることがあります。

(A)実質的共有財産

結婚中に夫婦が協力して取得した財産で、夫婦の一方の名義になっているもの。

(B)共有財産

夫婦の合意で共有とし、共有名義で取得した財産、共同生活に必要な家財・家具等。

(C)特有財産

結婚前から各自が所有していた財産又は結婚中に個別に相続や贈与により取得した財産。
各自の装身具等社会通念上、各自の専用品と見られるもの。
なお、夫婦の一方の両親から新居の購入資金(頭金等)の援助を受けた場合、これが上記(A)にあたるのか、(C)にあたるのか、争いになる可能性があります。
夫婦が親から贈与を受ける際には、誰に対して金額はいくらを贈与するかを明確にしておくことが大切です。

 

財産分与の一般的な割合は?

「妻は専業主婦なんだから、築いた財産は夫のものだ」という考え方は通用しません。

専業主婦の家庭であっても、その家事労働を評価し、今日では夫・妻の比率は、「50%:50%」から「60%:40%」くらいというのが一般的です。

 

財産分与の取り決めはいつ頃すべきですか?

財産分与も慰謝料の考え方と同じで、離婚成立前に決定しておくべき事項です。

先に離婚届だけ出しておくとなると、離婚に伴う財産分与請求権の消滅時効は2年ですので、離婚後疎遠になって話がなかなか進まないうちに、うっかりすると時効にかかってしまうこともあり得ます。

また、財産分与を受けるべき財産を相手方に故意に処分・消費されてしまうという危険性も出てきます。

離婚届にサインする前に、きちんと話をする機会を設けることが大切です。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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