債務整理・自己破産

民事再生手続きのメリット・デメリット

5月 14, 2007

<メリット>

1.借金の減額
裁判所の関与のもと、原則3年(最長5年)の分割払いで債務全額を返済するような計画が立てられますので、元本が大幅カット(最高で負債の総額が5分の1まで圧縮可能)されます。
また、圧縮後は将来の利息もカットされるので、毎月の支払額がかなり減額になり、生活の建て直しが可能です。

2. 破産を回避することで職業上の資格制限がなくなる
自己破産をした場合、免責決定を受けるまでは、一定の職業に就くことが制限されますが(保険外交員、警備員、弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、不動産鑑定士、宅建主任者等)、民事再生手続は将来の収入の一部を弁済にあてることの引き換えに、破産者となることを免れるので、職業上の資格制限等がありません。

3. 取立行為が止む
正式な依頼を受けて司法書士・弁護士が各債権者に受任通知を送付した段階で本人に対する電話や手紙による催促等の直接の請求行為が禁止されるので、生活の平穏が戻ります(債務整理手続き全般に共通するメリット)。

4. 持ち家を手放さなくてすむ
自己破産する場合、大きな財産は基本的に全て処分・換価されてしまいますので、購入した住宅は当然に手放さなくてはなりませんが、民事再生においては、一定の要件のもと、住宅ローンの返済方法を見直す再生計画が認可されれば、購入した自宅を手放す必要はありません。
なお、住宅ローンは、元本はカットされませんが、支払い期限を猶予してもらうことが可能です(最長10年、70歳まで)。
ただし、返済期間が伸びた分の利息や遅延利息を支払わなければならないことも考慮に入れなければなりません。

5. 強制執行手続が停止
個人再生申し立てをした後に民事再生手続きを開始するという裁判所の開始決定が下りると給料差し押さえなどの強制執行手続が停止されます。

6. 免責不許可事由に該当しても手続可能
自己破産の場合、多重債務に陥った原因が浪費や賭博行為などの免責不許可事由に該当すると、免責を受けられません。この場合、破産しても借金は無くなりませんので、地道に任意整理などで債務整理をしていかなくてはなりません。
一方、民事再生は、多重債務に陥った原因を問わず、債務の返済計画が立てられます。

7. 債権者全員の合意が不要
任意整理や特定調停は、各債権者との任意の合意を目指すものですから、一部の債権者から合意が得られない場合、結局返済不能に陥り破綻する恐れがあります。
しかし、個人再生は、債権者全員の合意は不要(『給与所得者等再生』は全く不要。『小規模個人再生』は債権者の消極的同意が必要。詳しくは『小規模個人再生』へ)となっているので、裁判所が認可した再生計画を各債権者に強制的に認めさせることができます。

 

<デメリット>
1.破産手続や他の債務整理手続よりも手続が複雑で、より費用が多くかかる。
2.自己破産と異なり、手続終了後3年程度、各債権者に返済をしなければならないので、毎月継続・安定した収入が必要。
3.民事再生の要件を満たさない場合、裁判所からの認可が得られず、原則として破産手続に移ってしまう。
4.任意整理のように、一部の債権者を除外して手続を進めるという事が出来ない。
5. 個人信用情報機関(ブラックリスト)に登録されるので、今後一定期間は借り入れ等が出来きない。(債務整理手続き全般に共通するデメリット)
6.保証人がいる場合、手続が難しくなる可能性がある。

※ 保証人がいる場合でも、㋐小規模再生手続、㋑給与所得者等再生手続と㋒住宅ローンの特例の場合では対応が異なりますので、事前の詳しいお打合せが必要になります。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

詳しいプロフィールはこちら

-債務整理・自己破産
-, ,

© 2024 家族信託なら宮田総合法務事務所【吉祥寺】無料法律相談を実施中! Powered by AFFINGER5