個人事業主として活動を続けるなかで事業規模が大きくなってくると、一度は頭をよぎるのが「法人化」ではないでしょうか。
法人化(株式会社・合同会社などの設立)には多くのメリットがある一方で、慎重に検討すべき注意点も存在します。
そこで今回は、個人事業を法人化する代表的なメリットと注意点をご紹介します。

個人事業を法人化するメリット
(1)節税効果を狙える可能性
法人化の大きなメリットの一つに、税負担の軽減が挙げられます。
個人事業主が納める所得税は、所得が増えるほど税率が高くなる「累進課税」となっており、最大税率は45%にまで達します。
一方、法人の所得に対して適用される法人税は、税率が比較的安定しています。
そのため、一定以上の利益が出ている状況では、個人事業主のままよりも法人化した方が、トータルの納税額を抑えられる可能性が高いです。
また、法人の方が個人事業主よりも経費計上できるものが増えますし、原則として法人化後の2事業年度は消費税の免除効果も得られるため、ある程度の節税メリットも期待できます。
さらに、年間収支が赤字の場合でも、個人事業主の赤字の繰越しは最大3年となりますが、法人の場合は、原則として10年間繰り越すことができます。
つまり、法人において短期的な赤字は、長期的に見て将来の黒字と相殺して法人税を節税することを狙うこともできます。
(2)社会的な信用が高まる可能性
法人化をすることで、社会的な信用度が向上する点も見逃せません。
法人は、商業登記によって、会社の情報(商号、本店、事業目的、資本金、代表者の住所氏名、役員名など)が一般に公開されており、事業実態を公的に証明できるため、取引先や金融機関からの信頼を得やすくなります。
特に、大手企業との取引や新規の契約においては、「法人格があること」を取引条件としているケースも少なくありません。
信用が高まることで、取引相手の拡大が見込めたり、資金調達の選択肢が広がったり、優秀な人材の採用がスムーズに進んだりと、事業を次のステップへ進めるための強力な後押しとなるはずです。
(3)決算日を自由に設定可能
個人事業主は、毎年1月1日から12月31日までの所得を取りまとめ、翌年の3月15日までに所得税の申告と納税を済ませなければなりません。
一方の法人は、1年間の締め日となる決算日を自由に設定できます。
消費税の免除期間を最大化(最長1年11ヶ月)するため、会社設立日を月頭に設定し、第1期目の事業年度をできるだけ長く設定することが多いです。
また、それとは別の観点として、繁忙期を避け、事業があまり忙しくない時期を決算日に設定するケースもあります。
個人事業を法人化する際の注意点
(1)ランニングコストがかかる
法人の場合、運営に伴う費用負担(ランニングコスト)が増える点には注意が必要です。
法人は、たとえ赤字決算であっても、毎年「法人住民税の均等割」として年間約7万円程度の納税義務が生じます。
また、毎年の法人の決算申告は、個人事業とは違い複雑になりますので、税理士に依頼するケースが多いです。
つまり、税務顧問料や決算申告報酬などの税理士に支払うコストも毎年発生すると考えるべきでしょう。
(2)社会保険の加入義務
会社を設立すると、「一人会社」(社長一人で従業員がいない会社)であっても、原則として社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が法律で義務付けられています。
社会保険の加入に伴い発生する「社会保険料」は、会社と本人が折半することになりますが、元々の金額は個人事業主の社会保険よりも割高になっています。
さらに、従業員を雇えば、給料の他にもこのような社会保険料にかかる会社の負担も大きくなっていくことは覚悟する必要があります。
以上、今回は個人事業を法人化するメリットと注意点を一部ご紹介しました。
これら法人化のメリット・注意点を把握した上で、個人事業を法人化すべきかどうか、法人化するならどのタイミングが最適かを見極めることは重要です。
リスクを抑えつつ事業の成長を加速させるために法人化を検討されている方は、一度専門家にシミュレーション等の相談をしてみるといいでしょう。
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