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家族信託の実行に関する費用・報酬は?

9月 13, 2018

家族信託・民事信託を検討したい方が急増している昨今、家族信託の相談・設計・実行に関するコスト(報酬・実費など)についてのお問合せも急増しております。
家族信託を取り扱う専門職は、司法書士ばかりではなく、行政書士や弁護士、税理士等幅広い士業が家族信託についての相談に関わっているのが現状であり、各専門職においても報酬の自由化により、その報酬の算定基準については各事務所によりかなりの開きがあるようです。
そこで、一つの参考として、弊所のコンサルティング報酬の考え方をご案内したいと思います。
弊所では、まず、報酬及び実費分について2段階に分けて考えて頂いております。

 

 

 

【第1段階:信託契約公正証書・遺言公正証書等の作成まで】

第1段階は、まず〝家族会議″を招集頂き、そこに当職が同席し、親子間・兄弟姉妹間での話し合いを経て、最終的に公証役場で「信託契約公正証書」「遺言公正証書」「任意後見契約公正証書」などを作成するところまでの工程です。

家族会議の中では、今後の老親の財産管理・認知症対策、その先の円満円滑な資産承継について、老親自身及び家族の「希望」「想い」を伺い、一方で、何の策も講じなかった場合の本人及び家族にとっての「お困りごと」「リスク」は何かについても検討します。
その上で、希望や想いを実現する施策、リスクを回避できる施策をいくつか比較検討し、最終的には1つ又は複数の施策を実行することになります。
家族会議の開催場所は、弊所の時もありますし、老親のご自宅(実家)であったり、入所・入院先であることもあります。
また、家族会議の回数も最低2・3回で済むケースから、何度も何度も招集がかかるケースもあります。

この第一段階の費用については、次の通りです。
まず、報酬部分は、前述の通り≪ご家族のご意向のヒアリング、いくつかの施策の比較検討、家族信託等の施策の提案・設計、信託契約書・遺言書等の文案作成、公正証書作成時の立会い≫の工程をひとまとめにした「コンサルティング報酬」となります。
これは、お打合せの場所や回数、信託契約の本数に関係なく、信託財産に入れる財産評価額を基本としております。
実際の報酬表は下記の通りとなっており、信託財産のパーセントでもなく、資産額に応じて段階的に加算していくシステムにしております。

 

信託設計コンサルティング報酬表(第一段階)

信託契約スキーム:信託設計コンサルティング報酬表(第一段階)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうすることで、「もうちょっと打合せをしたいけど、報酬がかさばるから辞めよう」「本当は信託契約書は3本に分けた方が良さそうだけど、コストが大幅に増えちゃうのは嫌だから1本でいいや」といった変な妥協等が起きるのを避ける意図もあります。
なお、小職が代表をやらせて頂いております、専門職向け啓発・研修団体である一般社団法人家族信託普及協会では、その会員向けにお客様から頂戴するコンサルティング報酬について、弊所の報酬基準を参考に一定の報酬算定基準(報酬表例)を提示しております。

 

法律行為に係る証書作成の手数料

第一段階のコストでもう一つ考慮に入れるべきは、公証役場の手数料です。
これは、公証人法で規定された下記の報酬表に基づいて決まる公証役場に支払う費用です。

(目的の価額) (手数料)
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 43000円に、5000万円まで
ごとに13000円を加算
3億円を超え10億円以下 95000円に、5000万円まで
ごとに1万1000円を加算
10億円を超える場合 249000円に、5000万円まで
ごとに8000円を加算

※上記の他、文書料(証書枚数によって異なります)、印紙代(200円)等がかかります。

【第二段階:信託登記手続き】

第二段階は、信託財産に不動産がある場合に、家族信託が実行され誰が管理者(=受託者)となるかを登記簿に記載するという手続き、いわゆる「信託登記」という工程があります。
つまり、株式信託や金銭信託は、登記・登録する作業工程はありませんので、公正証書での契約締結をもって一区切りとなり、第二段階は必要なくなります。
信託登記手続きは、司法書士としての登記手続き報酬がかかります。
一方で、法務局に収める登録免許税も信託不動産の固定資産税評価額に応じて支払う必要があります。

 

まとめ

以上を踏まえ、家族信託の設計・実行等にかかる初期の総費用は、上記第一段階と第二段階のコストを合算したものになります。

かなりざっくりの一般論ですが、信託財産に入れる財産評価額(不動産の場合は固定資産税評価額)の約1.2~2%が初期の導入費用(イニシャルコスト)ということになります。

なお、余談ですが、家族信託は一旦スタートした後のランニングコストは実質的に何も発生しないことを原則として備えますので、老親をみとりきるまでのトータルコストは、成年後見や任意後見制度の方が実は割高になる可能性も多々あります。

 

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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