「家族信託」を実行して、老親の財産管理を万全にし、安心できる老後や円満円滑な資産承継の実現を目指す方が増えております。
実際に財産管理の役割を負うのが「受託者」であり、高齢者の子や孫、甥姪が受託者になるケースが一般的です。
受託者の義務として、毎年税務署への「信託計算書」などを提出しなければならない、とご不安に感じている方も多いようですので、本稿では、この「信託計算書」の提出義務についてご説明します。
結論から申し上げますと、1/1から12/31までの1年間で、信託財産からの収益の合計額が年3万円以上の場合の「受託者」は、所得税法第227条により「信託の計算書」「計算書合計表」を翌年の1/31までに所轄の税務署に提出する義務があります。
この「信託の計算書」は、1年間の信託財産からの収入と支出(経費)を簡潔にまとめたものであり、「計算書合計表」は信託財産の一覧をまとめたものになります。
※ 弊所のホームページをご参照下さい↓↓↓
※ 「信託の計算書」「計算書合計表」に関する国税庁のホームページ↓↓↓
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100054.htm
したがいまして、収益不動産を信託財産に入れている方や信託不動産を売却して譲渡益が発生した方、多額の信託金銭で運用をしている方などがこの提出義務の対象者になります。
言い換えますと、老親の自宅(実家)の管理を目的とした信託において、賃貸も換価処分もしていない場合は、信託財産から収益を生んでおりませんので、「信託の計算書」「計算書合計表」の提出義務はありませんので、ご安心下さいませ。
ちなみに、「信託の計算書」「計算書合計表」の提出義務がある方の場合、受益者の確定申告を税理士さんにお願いされている方は、併せてこの「信託の計算書」「計算書合計表」の作成・提出手続きを税理士さんにご依頼されているケースが多いようです。
確定申告期限の3/15よりもかなり前倒しされた1/31が提出期限となっておりますので、ちょっと大変ではありますが、確定申告の簡易版みたいなものとも言えますので、ご自身でやってできないことはありません。
もし「信託の計算書」「計算書合計表」の作成・提出について、ご不明な点・ご不安な点・お困りな点等ございましたら、弊所までどうぞお気軽にご連絡下さいませ。