まず、導入コスト(初期費用)の比較をします。
「家族信託」は、信託財産として何を管理するか、信託財産の評価額に応じて、公証役場の手数料も専門職の報酬も、不動産の信託登記費用(登録免許税や登記手続き報酬)も変動します。
かなり大雑把な概算としては、信託財産の評価額(不動産の場合は、固定資産税評価額)の1.2~2%が家族信託の実行にかかる初期費用のイメージとなります(最も多い初期費用の価格帯は金60~100万円でしょうか)。
一方の「成年後見」の導入コスト(法定後見人の選任申立て手続きにかかる費用)は、家庭裁判所に納める印紙代や診断書発行手数料などの実費は1万円前後、専門家報酬が金15~20万円(税別)程度と言えます。
ただし、本人(被後見人)の残存能力(どの程度判断能力が残っているか)をより正確に把握するために、裁判所から主治医に「鑑定」を要請することがありますので、その場合は、主治医に対して金5~10万円程度が加算されることになります。
これらをまとめますと、成年後見人を就けるための初期費用は、金18~35万円といえます。
次に、ランニングコストの比較をしましょう。
家族信託の場合、家族信託の設計によりランニングコストがかかるケースとかからないケースがあります。
これは、家族信託の設計を担う法律専門職の提案次第なところもありますが、「信託監督人」などの立場で法律専門職などが定期的に受託者の財産管理業務にかかわる場合は、月額数千円~2万円程度かかるケースがあります。
弊所で提案する設計では、お客様側からのご要望が無ければ、「信託監督人」を設置することを原則としておりませんので、そうなるとランニングコストはかからないことになります。
一方、家族・親族が後見人に就任する場合(いわゆる“親族後見”の場合)、本人(被後見人)の保有する金融資産の規模や後見人としての業務内容(不動産の賃貸経営や遺産分割協議が想定される場合など)により、「後見監督人」が選任されることになります(金融資産の目安としては、東京エリアですと、現預金で金1,000万円以上お持ちの方は、後見監督人が選任される対象となります。)。
この費用は、「任意後見」の場合も同様です(任意後見の場合は、金融資産の規模等に影響なく、必ず任意後見監督人が就任しますので、必ず任意後見監督人報酬が発生します)。
後見監督人は、司法書士や弁護士が選任されますが、ボランティアではありませんので、月額1~2万円の後見監督人報酬が家庭裁判所の審判により決まります。
なお、もし、後見人に家族・親族が就任できない場合は、司法書士・弁護士等の法律専門職が後見人に就任しますので(いわゆる“職業後見”といいます。)、月額2~6万円の後見人報酬が発生します。
つまり、成年後見制度ランニングコストとしては、“親族後見”なら月額1~2万円の後見監督人報酬、“職業後見”なら月額2~6万円のランニングコストを想定する必要があります。
上記の通り、初期費用だけをみれば、成年後見の方がコストは抑えられるように見えます。
しかし、本人(被後見人)が長生きをしていただくことにより、成年後見の利用期間が長期化すればするほどコストがかさむことになりますので、結果としては、ランニングコストがかからない家族信託 の方が結果として費用を抑えられる可能性も高くなると言えます。
なお、実際には、コスト面の比較だけは無く、さらには、成年後見を利用した場合の「事務の負担」や「できることが限られるという制約」という観点からも、家族信託と成年後見を比較すべきということになります。
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