家族信託」以外に認知症による資産凍結対策に備える施策としては、下記の3つが代表的なものとして考えられます。
(1)任意後見制度
成年後見制度の一つである「任意後見制度」は、本人が元気なうち(判断能力があるうち)に将来後見人に就任する人を「契約」であらかじめ頼んでおく仕組みです。
信頼できる相手と契約をして将来に備えるという意味では、家族信託と似たイメージです。
本人が望んだ相手に後見人をお願いすることで、ほぼ確実にその契約相手(任意後見受任者)が後見人に就任できます。
ただ、任意後見も成年後見制度の一つですので、任意後見人が行う後見事務については、柔軟な管理が認められている訳ではなく、事務報告の負担は少なくありませんし、任意後見人としてできることとできないことがある点にも注意が必要です。
なお、任意後見契約で後見人を予約しておく相手としては、子や孫、甥姪だけではなく、司法書士等の法律専門職とすることも一般的です。
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(2)金融機関の代理人制度
金融機関によっては、口座名義人自身があらかじめ「代理人届」を提出しておくことで、口座名義人だけではなく代理人も本人に代わって預金の払戻や送金手続きができるような「代理人制度」という仕組みがあります。
ただし、一口に「代理人制度」と言っても、金融機関によって下記のようなタイプに分類されますので、口座をもっている金融機関に、「代理人制度」があるのかどうか、もしある場合は、下記のどのタイプになるかを早めに確認しておく必要があるでしょう。
なお、代理人として届出ができる人も、金融機関によって違う可能性がありますが、一般的には、日本に住所がある子などの家族に限定されています。
㋐予約型代理人制度:口座名義人の判断能力が低下したという金融機関所定の診断書を提出することによって代理人が発動する仕組み
㋑即効型代理人制度:口座名義人が元気なうちから(届出をしたときから)、代理人として預金の払戻や送金手続きができるような仕組み
㋒代理人カード:代理人が金融機関の窓口で払戻や送金手続きはできないが、今からATMで使える代理人用のキャッシュカードを発行してもらえる仕組み
上記の通り、金融機関によって、「代理人制度」もまちまちですが、老親の保有資産が現預金のみ(保有不動産があっても、家族信託で預からない方針)であれば、「家族信託」や「成年後見制度」を使わずに、この「代理人制度」だけで乗り切ることを目指すことも可能だと言えます。
(3)生前贈与
生前贈与は、所有者本人が元気なうちに、自分以外の相手に財産を無償で譲渡する意思を表示し、相手方もそれを受諾することで成立する行為です。
生前贈与をすることで、高齢者自身の財産ではなくなりますので、病気や認知症などで判断能力が低下しても資産凍結の事態を防ぐことができます。
ただ、原則として、年間110万円を超えて贈与をする場合は、贈与を受ける側(受贈者)には、贈与税の課税がなされます。
また、不動産を贈与する場合は、贈与による所有権移転登記手続き費用がかかりますし、不動産取得税も課税対象になりますので、資産凍結対策として、本当に有効な手段となり得るのか、コスト面を中心に慎重に検討する必要があるでしょう。
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