仕事関係 司法書士のつぶやき

戸籍謄本の電子交付化へ

~行政手続きのDXで相続手続きの負担減へ~

2024年8月22日付日本経済新聞の記事によりますと、政府は相続手続きに必要な戸籍謄本などの戸籍の証明書類に関し、全国の自治体で電子データで交付できるようにする方針を固めたようだ。

相続が発生した際には、銀行口座の相続手続き(預金口座の解約・払戻)や証券会社の証券口座の相続手続き(有価証券類の名義変更)において、法定相続人を特定・証明するため、相続人全員の現戸籍謄本と被相続人の死亡から出生まで遡った戸籍・除籍・改製原戸籍謄本の一式が必要になる。
また、生命保険の死亡保険金を請求する際にも亡くなった旨の記載のある戸籍謄本が必要になる。
さらに、被相続人が不動産を所有していれば、相続登記には、前述の戸籍一式が必要になるし、相続税の申告が必要な方は、税務署に対しても同様の書類を提出する必要がある。
これら金融機関や法務局、税務署に提出していた戸籍一式又は法定相続情報一覧図について、将来的には電子データで簡便に提出できる仕組みを想定する。

行政手続きのデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めることで、相続手続きなど利用者側の煩雑な手続きの負担を軽減すると共に、行政サイドも手続きの簡素化、窓口業務の負担軽減などの効果が見込める。

戸籍謄本の電子交付ができるようになれば、市区町村役場の窓口に申請・受領に行ったり、返信用封筒や定額小為替を同封して郵送申請する手間も省くことができる。

自分のスマホやパソコンで電子データの交付申請を行い、それを受けて戸籍情報を一括管理する法務省がPDFファイルで戸籍データを交付するような仕組みを描いているようだ。

行政手続きのDX化で、我々利用者の利便性が向上するのはもちろんのこと、少ない人員で行政事務手続きを処理できるような“スリムな行政庁”を目指し動きは歓迎したい。

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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