遺産相続手続・遺産整理・遺言執行

相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議 ≪特別代理人選任申立て≫

12月 20, 2006

概 要

相続人の中に未成年者がいる場合、未成年者の相続人は遺産分割協議に直接参加することはできないため、未成年者の親など親権者や後見人が、未成年者の法定代理人として遺産分割協議に出席する必要があります。
但し、親権者と未成年の双方が相続人になるなど、法律的に子と親権者の利益が相反する場合は、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申立てしなければなりません。
また、同一の親権に服する複数の子の間で利益が相反する行為などについても、同様に利益相反に該当します。
さらに、遺産分割協議の際にまだ生まれていない胎児に対しても特別代理人を選任する必要があります。

具体的には、夫が被相続人で妻と子(未成年者)が相続人ならば、妻は子の特別代理人の選任を申立て、妻と特別代理人の二人で遺産分割協議を行うことになります。
子が2人いて共に未成年者のときは、特別代理人を2人たてて、妻と特別代理人2人の計3人でおこないます。
また、(内縁関係・離婚等で)母が相続人ではなく、2人の子(未成年者)だけが相続人であるときは、母(親権者)は子2人ともの代理人になることはできないので、片方の子の代理人として母親がたち、もう1人の子には特別代理人を選任してもらう必要があります。

なお、特別代理人を立てず、いわば利益相反の代理行為があった場合、無権代理によるものとして遺産分割協議自体が無効とされ、子は成人に達した後に「自分の利益が侵害された」と無効の主張を訴えることができます。

 

特別代理人選任申立手続き

申立人

親権者、後見人、利害関係人

管轄

子(被後見人)の住所地の家庭裁判所

手数料等

子(被後見人)1人につき収入印紙800円と郵便切手(裁判所によっ
て異なります)

必要書類

  • 申立人の戸籍謄本 1通
  • 子の戸籍謄本 1通
  • 特別代理人候補者の戸籍謄本、住民票 各1通
  • 利益相反行為に関する書面

(例)遺産分割協議書案、金銭消費貸借契約書案、抵当権設定契約書案 など
※ 父母が共同で親権を行う場合においても、利益相反の関係にある親権者のみが
単独で申立てできます。

申立てから選任審判までの所要期間

申立後、早ければ2~3週間ほどで選任の審判が下ります。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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