債務整理・自己破産

過払い金返還請求権の時効消滅

3月 2, 2009

過払い金返還請求権も民事上の請求権として、原則10年の時効期間が経過した後には実質的に請求が出来なくなります(時効により請求権が消滅します)。
過払い金の返還請求において、相手業者から消滅時効が主張されるケースとしては下記のような取引があります。

(1)取引自体が既に10年以上前に終了(完済)しており、その後取引がない場合
(2)10年以上前に一度完済により取引が終了しているが、その後再取引を開始しており最後の取引は10年以内である場合
(3)完済による取引終了はないが、10年以上前に既に過払い金が発生している状態となっている場合
(1)の場合は払い金全額の返還請求権が時効により消滅していると判断されるため、返還を受けることは原則として出来ません。
(2)の場合は現在の過払い金返還請求において最も大きな争点となり得る時効消滅の争点です。

この点が最も大きな争点となる理由は、過払い金の時効消滅が認められるか否かにより過払い金として返還請求できる額が大きく左右される可能性があるからです。
10年以上前に一度完済により取引が終了していても、次の新たな借入開始までそれほど期間が空いていなかったりすれば、1つの金銭消費貸借取引が脈々と10年以上続いていたと判断され、“一連取引”として10年の消滅時効は進行しません(注:期間の長さだけがポイントではありません)。

しかし、10年以上前に一度完済により取引が終了し、次の新たな借入の際には、新しく契約書を交わしていたり、新しくカードを発行していたりすれば、別取引が開始したと判断され、10年以上前に発生していた過払い金返還請求権は、時効消滅していると判断される可能性があります。

そうなると、一連での利息の再計算に基づき過払い請求しようとしても、結果として、逆に債務が残ってしまう場合もありえます。
この争点については裁判所によって判断が異なり、最高裁でも明確な判断が出されていないので事例によっては注意が必要です。
(3)の場合は「過払い金の消滅時効はいつから始まるか」が問題となります。この点は平成21年1月22日に最高裁第一小法廷において「過払い金の消滅時効は取引終了時から進行するもの」との判断がなされているので、10年以上前から過払いが発生していたとしても過払い金は全額請求できることになります。

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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