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天災・震災と家族信託

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昨今の大型台風やゲリラ豪雨、地震等の天災による浸水・損壊等の被害は、これまでの我々の想定をはるかに超え、 思いもよらない被害をもたらしています。

先月北海道南西部で最大震度7を観測した地震のときもそうですが、これまで地震が少なかった地域でも、今後いつ地震が起こるか分かりませんし、大型台風や線状降水帯(せんじょうこうすいたい)による集中豪雨に遭うリスクは 日本全国どこにでもあると言えます。

そんな中で、今回は家族信託による備えが重要であることのお話をしたいと思います。

 

これまでの一般的なお話としては、財産をお持ちの高齢者(老親)の財産管理について、将来的に大病や認知症の発症、事故等により適切な判断能力が失われてしまった場合に、自宅の処分や建替えをすること、更地にアパートを建設すること、定期預金の解約払戻しを受けること・・・などが自分自身でできなくなる、その結果、保有財産を希望する形で管理・活用・処分できなくなる状態、 いわゆる“資産凍結リスク”が取り沙汰されてきました。

その反面、老親が生きているうちに売却処分や建替え等を想定していない自宅、あるいは新築して間もないので建替え等を想定する必要のないアパートを保有するケースでは、それらの財産を信託財産として管理する必要性は低いとされてきました

アパート・マンション・駐車場等の賃貸経営においては、たとえ高齢の所有者が自分で署名できなくても、家族が代筆して済ませてしまっているケースが散見されており、実質的に賃貸経営においては、認知症や大病等によるリスクはあまり取り上げられてきませんでした

 

しかし、ここへきて大きな問題が出てきました!

老親の存命中に建替えや売却をしないとしても、高齢のオーナーが不動産の賃貸経営をするのであれば、『家族信託』による備えが重要となってきています。
その理由は主に2つあります。

1つ目は、冒頭にご紹介いたしました天災による被害を受けることへの備えです。
例えば、アパートを新築したばかりで、大規模修繕、建替え、売却処分を想定していなくても、台風による洪水で床上浸水になった、地震により建物の躯体に亀裂が入った・・・などの被害を受けた場合、オーナとしては、それなりの資金を投下して原状回復をしていかなければならなくなります。
その場合に、老親が認知症で多額な預金を下ろせなくなってしまったとか、工事業者との請負契約が発注できないといった実務上・法律上の問題が生じかねません。
不動産の賃貸経営を円滑に存続させるためには、“保険”の意味でも『家族信託』による備えは、安心材料の一つになります。

2つ目は、賃貸経営に関わる不動産業者の対応の変化です。
賃貸物件を管理する不動産管理会社や借主を見付けてくれる賃貸仲介業者などの宅建業者は、高齢のオーナーについて、コンプライアンス(法令遵守)の観点から判断能力の有無を確認するような動きが始まっております。
特に大手の不動産会社は、オーナーとの定期的な面談を義務付け、オーナーに判断能力があることを確認できないと成年後見人を就けない限り物件管理や仲介業務から手をひかざるを得ないという明確な姿勢を打ち出しているところも出てきております。
つまり、これまではオーナー側も不動産業者側も契約書類への調印を代筆で対応するというグレーな処理でまかり通っていたやり方が、近い将来全く通用しなくなる可能性があります。

 

結論として、高齢のオーナーが自身の体調・判断能力に左右されない盤石な体制をもって賃貸経営を遂行するには、『家族信託』で後継者となる子(=受託者)に管理・修繕・活用・解体・建替え・売却等の権限を与えて、想定外のいかなる事態が生じても賃貸経営や家産の維持管理に支障を来さないようにすることが重要であると言えます。

 

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