遺言には書いてはいけないことはありません。法律的な内容はもちろんのこと、付言として残される方々に対しての願い、感謝の言葉等伝えたいことを記載することができます。遺言をする上で重要なことは、残された方々の間で揉め事が起こらないためにも、メッセージとともに、自分の財産や身の上のことなどについて、自分はどうしてほしいのかをきちんと記しておくことです。
しかし、遺言に記した事項でも法的に拘束力があるものと、相続人達の自由意思に委ねるしかないものがあります。
法律上、遺言としての効力が認められている事項は大きく分けて「相続に関する事項」「遺産処分に関する事項」「遺言執行に関する事項」「身分上の事項」「その他」の5つに分けられます。これ以外のことを遺言しても法律上の効力はありません。この場合、遺言自体が無効になるわけではなく、その部分のみが無効となります。
1.相続に関する事項
・推定相続人の廃除、廃除の取消
・相続分の指定、及び指定の委託
・特別受益の持ち戻しの免除
・遺産分割の方法の指定、及び指定の委託
・遺産分割の禁止(5年以内の期間)
・遺産分割された財産について相続人同士で担保責任を負わせること(遺産に瑕疵があった場合)
・遺留分減殺方法の指定
2.遺産処分に関する事項
・遺贈
・財団法人設立のための寄附行為
・信託の指定
3.遺言執行に関する事項
・遺言執行者の指定、及び指定の委託
・遺言執行者の職務内容の指定
4.身分上の事項
・子の認知
・推定相続人の廃除、またはその取消し
・未成年者の後見人の指定
・後見監督人の指定
5.その他
・祖先の祭祀主宰者(祭祀の承継者)の指定
・生命保険金受取人の指定・変更
・遺言の取消