成年後見(法定後見・任意後見)、高齢者等の財産管理

ライフプランの作成 【任意後見】

7月 6, 2008

「ライフプラン」とは、法律上規定された文書ではありませんので、「エンディングプラン」や「老後の生活設計書」「私の思い」といったタイトルで作成されることもあります。しかし、任意後見契約の発効後、本人が意思を明確に表示できなくなってしまった場合に、任意後見人の行動指針・判断のよりどころになる非常に大切なもの(文書)です。分かりやすく言うと、遺言書が死亡後の希望を文書に残すのに対して、「ライフプラン」は、老後生活の希望を文書に残すものだといえます。
小職(司法書士)が依頼人と任意後見契約を締結するケースを例に「ライフプラン」についてお話しさせて頂きます。
小職が任意後見受任者になる場合、必ずしも本人(依頼人)との面識が以前からあり親交が深いとは限りませんので、まずは、本人についての情報を把握するところから始まります。先ほどもご説明しましたが、任意後見人は、本人が認知症にかかり意思表示や意思の疎通がうまくできなくなった時でも、本人がものを言えたらきっとこうしてほしいと言うだろうなという本人の潜在的希望を汲み取って本人の為に最適な行動を取ることが求められます。
そのためには、本人の老後生活の希望はもちろん、人生観や生い立ち、家族構成、職歴、経済状況、宗教宗派等をお伺いします。
また、今後の人生設計・意思能力低下後の施設入所希望の有無・延命治療や献体への考え方・葬儀の仕方・お墓のこと・遺産の処分方法等を一つ一つ決めていき、それを「ライフプラン」という一つの文書にまとめていきます。
こうして本人の様々な思いが詰まった「ライフプラン」が出来上がります。
小職が本人と任意後見契約を締結し、任意後見受任者となる際には、何度も本人の所にお邪魔をし、充分な時間を割いて、本人の現状及び将来の様々な希望・要望等についてじっくりお話を伺っています。そして、充分な時間と手間をかけて作成した「ライフプラン」を本人にもきちんと確認して頂き、納得の上で、双方が保管するようにしております。
ただし、「ライフプラン」は、遺言書と同じように、いつなんどき気が変わるか分かりません。気が変わった場合にはいつでも気軽に書き換えられるように、任意後見契約が発効する前であっても、こまめに本人とお会いして常日頃のお考えを把握するように努めています。
それが、即効型の任意後見プラン以外には、通常任意後見契約とセットになっている「見守り契約」の意味の一つです。
皆様も、もし家族や親族、親友、先輩、後輩との間で任意後見契約の締結をお考えの場合には、本人・任意後見受任者のどちらの立場であっても、お二人でじっくりと話し合い、「ライフプラン」を作成されることをお勧めいたします。
そして、任意後見契約を締結したからといって安心せず、定期的に本人と任意後見受任者とは連絡を取り合い、日頃の生活状況や想いを把握する努力をされることを是非ともお願いいたします。

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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