離婚協議・財産分与・養育費

離婚に伴う財産分与と税金

3月 22, 2011

離婚に伴う財産給付には、財産分与(※)・養育費・慰謝料等がありますが、資産を譲渡したり、名義を変更する際に、各種の税金が発生するのではとご心配される方は多いです。
そこで、離婚に伴う財産分与に関係する各種税金についてまとめてみました。

※夫婦が離婚する際に、婚姻期間中に築いた夫婦共有財産(負債を含む)を清算するために、一方から相手方に財産を渡すことを「財産分与」といいます。

 

贈与税

財産分与を原因として資産を移転する場合、妥当な範囲の給付であれば、原則として贈与税の課税対象となりません
なお、離婚に伴う財産分与ですから、財産給付行為は、離婚届提出日(=離婚日)以後に行われることが条件となりますので、注意が必要です。
ただし、財産分与による給付であっても、以下のケースでは、贈与税が課税される可能性があります(相続税基本通達9-8 ※末尾に原文掲載)。

(1)財産分与をうけた資産の評価額が、婚姻中に夫婦で築いた財産その他一切の事情を考慮してもなお不当に多過ぎると認められるケース。

この場合は、その多過ぎる部分が贈与税の課税対象になります。

(2)離婚を手段として贈与税や相続税を免れようとするためのもの(いわゆる「偽装離婚」)と認められるケース。

この場合、分与された財産は、贈与により取得したものとされ贈与税が課税される可能性があります。
離婚後も一緒に住み続けているような場合も、贈与と疑われる可能性がありますので、注意が必要です。

 

不動産取得税

婚姻中に一方が取得した土地や家屋を離婚に伴う財産分与として取得した場合、夫婦財産の清算としての不動産の取得(潜在的な持分の取得)となりますので、不動産取得税は課税されません
反対に、不動産の取得が“夫婦財産の清算”を目的としていない場合、つまり離婚後の“扶養”又は“慰謝料”の名目として不動産を取得した場合については、不動産取得税が課税される可能性があります。

また、婚姻中に一方が相続・遺贈で取得した不動産や婚姻前から一方が所有する不動産を取得する場合は、不動産取得税の課税対象となります。

さらに、夫婦共有で購入した不動産や婚姻期間中に配偶者贈与で不動産の持分を移転していた場合なども、不動産取得税を課税される可能性がありますので注意が必要です。
ただし、分与を受けた側が居住用として当該不動産を使用する場合には、軽減措置を受けられる可能性がありますので、詳しくは、最寄りの都税事務所までお問合せ・ご相談されることをお勧めします。

 

譲渡所得税

財産分与として不動産を受け取る側には、原則贈与税が課税されないことは上記A)のとおりですが、土地や建物を分与した側には、譲渡所得の課税がされますので注意が必要です。
と言いますのは、財産分与の場合は、資産を給付することにより財産分与義務の消滅という経済的利益があると考えられるため有償譲渡と扱われ、その経済的利益(譲渡益)に対して所得税が課税されます。

この場合、分与した時の当該不動産の時価が譲渡所得の収入金額となり、その金額から取得費、譲渡費用を差し引いて譲渡益が発生しているかどうか計算することになります。

もし譲渡益が発生する場合でも、自宅不動産(居住用財産)を相手側に財産分与するケースが最も一般的だと思いますので、この場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」(譲渡益が3000万円以内であれば課税を受けない特例)を受けることができますので、実際に分与した側に譲渡所得税が課税されるケースは少ないでしょう。

なお、分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになりますので、将来、分与を受けた土地や建物を売った場合には、財産分与を受けた日を基に、長期譲渡になるか短期譲渡になるかを判定することになります。

 

登録免許税

財産分与を原因とする土地・建物の所有権移転登記には、当該不動産の移転する持分に相当する固定資産税評価額の2%(1000分の20)を登録免許税として、管轄法務局に収める必要があります。
この登録免許税(及び登記手続きに伴う司法書士報酬)を折半するか、どちらかが負担するかは、当事者の協議になります。

 

 ≪相続税基本通達 9-8≫
婚姻の取消し又は離婚による財産の分与によって取得した財産(民法第768条((財産分与))、第771条((協議上の離婚の規定の準用))及び第749条((離婚の規定の準用))参照)については、贈与により取得した財産とはならないのであるから留意する。ただし、その分与に係る財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお過当であると認められる場合における当該過当である部分又は離婚を手段として贈与税若しくは相続税のほ脱を図ると認められる場合における当該離婚により取得した財産の価額は、贈与によって取得した財産となるのであるから留意する。(昭57直資2-177、平17課資2-4改正)

 

  • この記事を書いた人

宮田浩志(司法書士)

宮田総合法務事務所 代表司法書士

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・後見等の仕組みを活用した「老後対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。

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