民事信託・家族信託について司法書士・宮田浩志からのメッセージ

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受託者を複数にすることは可能です。
実際にそのようなご要望を承ることもあります。
しかし、受託者を複数と言っても、3名以上はやはりお勧めできません。
意思決定の過程が難航したり、機動力にかける可能性があるからです。
例えば、不動産を信託財産とする信託契約において、受託者を委託者兼受益者の長男と長女にした場合、当該不動産の登記簿には受託者2名の名前が所有者欄に記載されます。実質的に2名の共有状態のような形になりますので(法律的には“合有”ということになります)、もし将来的に信託不動産を売却するとなったら、受託者両名の実印押印と印鑑証明書の用意が必要になります。
その意味では、
信託事務の処理については、受託者の過半数をもって決するとされています(保存行為等は単独で可。)。
もし仮に、受託者が2人の場合で2人の意見が対立してしまうと、信託事務を円滑に行うことができなくなり、信託の目的を達成できなくなる可能性も出てきます。
もし共同受託者二人うち一人が亡くなった場合、単純に生存しているもうひとりが単独で受託者になるのでしょうか。
そうです。
例えば共同受託者Aが死亡した場合、75条1項によって当然に共同受託者Bが受託者となります。
何も定めがなければAの相続人(妻子など)に受託者の地位が相続されてしまいそうですが、共同受託ではそもそも相続すべき「持分」の概念がないと考えられています。
そのような危険性を回避するために、受託者を2人にするのではなく、受託者を1人にし、もう一人は第二受託者として定めておくことや、信託監督人や受益者代理人の地位に就くことで信託に関与していくというような設定の方がよろしいかと思います。
なお、受託者が2人以上いる信託の場合、どちらか1人が死亡等により受託者の任務を終了することになっても、信託行為に別段の定めがない限り、残ったもう1人の受託者が引続き信託事務を行うことになりますので、新たな受託者を選任する必要はありません。